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『譲渡金額の5%』の落とし穴とは?M&A仲介手数料トラブルの理由と防止策を徹底解説

「最初に『譲渡金額の5%』と聞いていたのに、なぜか請求額がそれ以上に…」そんな疑問や不安を感じたことはありませんか?

本記事では、M&Aの仲介手数料にまつわる“思わぬ落とし穴”について、実例を交えながらわかりやすく解説します。

■本記事を読むと得られること

  1. 5%を超える請求が発生する理由がわかる
  2. トラブルを防ぐ契約時の確認ポイントがわかる
  3. 万一の際の対処法・交渉術を学べる

■本記事の信頼性
筆者はM&Aアドバイザー歴10年以上、累計200件超の実績を持ち、中小企業庁登録のM&A支援機関として活動。誠実・迅速なサポートに定評があります。

この記事を読むことで、手数料トラブルに巻き込まれず、安心してM&Aを進めるための正しい判断力と実践的な知識が身につきます。

後悔しないM&Aの第一歩として、ぜひ最後までご覧ください。

1. はじめに:なぜ「5%」だと思い込んでしまうのか?

M&Aを検討している経営者の中には、「仲介手数料は譲渡金額の5%くらいだろう」と信じて疑わなかった方も多いのではないでしょうか。これは決して珍しい勘違いではなく、実際に多くの売り手が「そんなに払うなんて聞いていない!」というトラブルに直面しています。

このような思い込みが生まれてしまう主な理由は、M&A業界でよく使われる「レーマン方式」という手数料体系の存在と、それが一部の仲介会社によって誤解を招くように使われているからです。レーマン方式は一見シンプルに見えますが、実は契約条件や会社ごとの運用方法に大きな差があり、特に「最低報酬額」という見落とされがちな落とし穴が潜んでいます。

例えば、「譲渡金額の5%で手数料を計算します」と説明されたとしても、実際にはその5%よりもはるかに高額な「最低●●万円から」という規定が裏で適用されていることがあります。このような最低報酬額の存在をしっかりと説明されないまま契約してしまうと、売却金額が想定より下がった場合などに、結果的に「10%以上も手数料を支払った」という事例すらあります。

実際に中小企業庁は、2022年9月2日付で「M&A支援機関登録制度」の一環として、仲介業者の不適切な行為について注意喚起を行っており、同制度では「契約前に報酬体系を明確に説明すること」「顧客に誤解を与える営業行為の禁止」などが明記されています(中小企業庁公式サイト)。

さらに、多くの仲介会社が自社の手数料を「譲渡価格の5%程度」と説明する際に、実例として5億円や10億円といった高額取引のケースを持ち出すことがあります。これは実際の中小企業の譲渡額とはかけ離れた規模であることが多く、現実的には1億円前後の案件で最低報酬2,500万円が適用されると、手数料率は25%にもなってしまいます。

つまり、売り手が「5%だと思っていた」というのは、情報提供者である仲介会社の説明手法や提示される事例のバランスに大きく影響されているのです。これは、仲介会社が意図的に説明をあいまいにしたり、不都合な情報を隠したりすることで、あたかも業界共通のルールであるかのように錯覚させてしまっている側面も否定できません。

以下のようなポイントが、誤解が生まれる背景にあります。

  • 「レーマン方式」という言葉が共通ルールのように響く
  • 最低報酬の存在を契約書にしか明記しない会社がある
  • 計算例に非現実的な高額案件を用いて説明する
  • 「他社も一緒ですよ」と曖昧にまとめられる

そして、仲介契約を締結するタイミングでは、まだ正式な買い手も決まっておらず、株価や譲渡金額が正確に見積もれない段階であるため、「5%で収まるだろう」と思い込んでしまいやすい心理的な背景もあります。

このような誤解が起きないようにするためには、仲介会社が提示する「手数料率」だけに注目するのではなく、「最低報酬額の有無」「計算対象となる金額の定義」「譲渡対象に含まれる資産の範囲」など、細かな契約条件まで確認する姿勢が求められます。

また、近年は中小企業庁の登録制度により、仲介業者の説明義務や報酬開示のルールが強化されつつありますが、それでも情報の非対称性は依然として大きく、売り手が契約内容を正確に把握しなければ不利な状況に追い込まれるリスクは高いままです。

結論として、「譲渡金額の5%」という表現は、表面上は分かりやすく聞こえる一方で、実態とは大きく乖離していることが多く、売り手にとって大きな誤解を生み出す要因となっています。特に中小企業のM&Aでは、最低報酬の存在が手数料率を大きく引き上げるため、「5%だから安心」とは決して言えません。

この記事では、今後このようなトラブルに巻き込まれないために、手数料の仕組みや注意点、信頼できる仲介会社の見分け方などをわかりやすく解説していきますので、ぜひ続けてご覧ください。

2. M&A手数料の基本:レーマン方式と最低報酬の仕組み

2.1 レーマン方式とは?わかりやすく解説

M&A仲介の手数料でよく使われているのが「レーマン方式」です。これは、譲渡金額に対して段階的に料率をかけて手数料を計算する方法で、見た目はシンプルに思えるかもしれません。

たとえば以下のように設定されるケースが一般的です。

譲渡金額の区分 適用料率(例)
5億円以下の部分 5%
5億円超〜10億円以下の部分 4%
10億円超〜50億円以下の部分 3%
50億円超〜100億円以下の部分 2%
100億円超の部分 1%

つまり、1つの料率で全額を計算するのではなく、段階ごとに料率を分けて適用します。これにより、譲渡金額が高額になるほど手数料率の平均は下がる設計になっています。

このレーマン方式は、もともと米国の投資銀行が考案した仕組みであり、日本でも証券会社や金融機関がM&A手数料を算出する際に利用してきました。しかし、現在の中小企業向けM&Aにおいては、各仲介会社がこの方式を「独自解釈」で用いるケースが増えており、統一されたルールは存在していません。

たとえば、譲渡金額の定義1つとっても、以下のような違いがあります。

  • 株式譲渡価格のみを対象とする仲介会社
  • 負債(借入金)を含んだ企業価値ベースで計算する仲介会社
  • 役員退職金や不動産売却益なども手数料計算に含める仲介会社

そのため、同じ「レーマン方式」と説明されていても、手数料総額には大きな差が出ることがあります。

たとえば、ある仲介会社は「1億円の5%=500万円」とシンプルに見せかけておきながら、実際には退職金や棚卸資産まで手数料対象に含めて800万円を請求してくる、ということもあり得るのです。

このように、レーマン方式は分かりやすいように見えて、運用次第では売り手にとって不利な条件になる可能性があります。契約前には、

  • 何に手数料がかかるのか(譲渡価格の範囲)
  • 段階別料率の適用方法
  • 「譲渡価格」と「企業価値」の違い

を必ず確認しておくことが重要です。

2.2 最低報酬額が適用されるケースとは

多くの仲介会社では、手数料の計算に加えて「最低報酬額(ミニマムフィー)」を設定しています。これは、譲渡金額がいくらであっても、仲介会社が最低限請求する報酬額のことを指します。

たとえば、レーマン方式で計算した結果が400万円だったとしても、契約で「最低報酬2,500万円」と定められていれば、実際に支払うのは2,500万円となります。以下に例を示します。

譲渡金額 レーマン方式での手数料 最低報酬額 実際の請求額
1億円 500万円 2,500万円 2,500万円
5億円 2,500万円 2,500万円 2,500万円
10億円 4,500万円 2,500万円 4,500万円

この最低報酬の存在は、仲介会社の収益を安定させる目的で導入されることが多いですが、売り手にとっては予想以上の高額請求に繋がる危険性があります。

特に注意が必要なのは、以下のようなパターンです。

  • 仲介契約時に「想定株価は5億円」と説明されたが、最終的な譲渡価格が3億円だった
  • レーマン方式なら1,500万円のはずが、最低報酬2,500万円で請求された
  • 「当初説明と違う」と主張しても、契約書に最低報酬の記載があるため反論できなかった

このようなトラブルが後を絶たないことから、中小企業庁は「M&A支援機関登録制度」の中で、報酬体系を契約前に明示し、顧客の理解を十分に得ることを求めています。

中小企業庁の注意喚起(令和4年9月2日)によれば、報酬体系が不明瞭な説明により、誤解を招く営業行為を行った場合には、登録取消しの対象となる場合もあるとされています。

このように、「最低報酬額」は契約上の合意事項である以上、あとから覆すのは極めて困難です。したがって、契約時には以下の点を必ず確認しましょう。

  1. 最低報酬額の有無と金額
  2. 想定株価と実際の譲渡価格の差が生んだリスク
  3. レーマン方式との乖離がどれほどあるか

最終的に支払う手数料を見誤らないためにも、「料率だけで判断しない」という視点が重要です。安易に「5%なら安い」と思い込まず、最低報酬額の適用有無を必ず確認するようにしましょう。

3. なぜ予定より高くなる?手数料が跳ね上がる3つの理由

3.1 最低報酬額の存在を説明しない仲介会社

M&A仲介会社において、手数料が想定より高くなる最も大きな理由のひとつが「最低報酬額の存在を契約前に十分説明していない」ことです。多くの仲介会社は、手数料の計算に「レーマン方式」という仕組みを使っていると説明します。しかし、その裏には「いくら譲渡価格が小さくても最低限これだけはいただきます」という金額が、あらかじめ設定されていることがあります。

たとえば、「譲渡金額の5%が手数料です」と言われた場合、売却金額が1億円であれば手数料は500万円になると考えがちです。しかし、実際には契約書の別ページに「最低報酬額:2,000万円」と書かれていれば、たとえ売却金額が8,000万円であっても2,000万円の手数料が発生するのです。

このような誤解は、仲介会社の説明不足によって起こります。実際、中小企業庁の資料(中小企業庁|M&A支援機関登録制度)でも「報酬の内訳や最低報酬の明示」が義務付けられており、十分な説明がないことは不適切な行為とみなされる可能性があります。

ある中小企業のケースでは、「売却額1億円で手数料は5%=500万円」と説明されたにもかかわらず、最終的に2,500万円を請求され、「契約書に最低報酬額と書いてありますから」と突っぱねられた例もあります。このようなトラブルは後を絶ちません。

したがって、仲介会社に支払う報酬については、「5%という料率」だけで判断せず、必ず「最低報酬額の有無と金額」を確認することが大切です。特に中小企業のM&Aでは売却価格が数億円以下となるケースが多く、最低報酬額が割高になる傾向があります。

3.2 業績見込みや株価の過大評価による誤誘導

手数料が想定以上に跳ね上がるもうひとつの原因は、「仲介会社が意図的に高すぎる株価を見せて安心させる」という行為です。これは売り手にとって魅力的に聞こえる一方で、結果的にミスマッチや過剰な期待につながり、想定外の高額手数料に結びつく要因になります。

たとえば、仲介契約時に「御社は5億円くらいで売れます」と試算されれば、「レーマン方式で計算しても手数料は2,500万円だから納得」と感じるかもしれません。しかし、実際には市場調査や買い手との交渉を経た結果、株価は3億円に下がったとします。この場合、レーマン方式での手数料は1,500万円程度になるはずですが、契約時に設定された「最低報酬額:2,500万円」が適用されてしまうのです。

つまり、最初に提示された「高めの株価試算」が、最低報酬額の高額請求を合理化するための営業トークになっているのです。

以下は、よくあるケースをまとめた表です。

試算された株価 実際の譲渡額 想定手数料(5%) 請求手数料(最低報酬適用)
5億円 3億円 1,500万円 2,500万円

このような問題は、仲介会社が「高く売れる」と期待させることで契約を取るために、根拠のない楽観的な見通しを提示することが背景にあります。実際、株価算定は将来予測や業界動向、買い手のニーズなどによって大きく変動するものであり、正確な価格を事前に断定することはできません。

売り手は、仲介会社の提示する試算額に過度な期待をせず、「あくまで見込みのひとつ」として受け止める必要があります。契約前に、複数社から株価の試算や意見を聞くことで、過大評価による誘導を防ぐことができます。

3.3 計算方式の違い(譲渡額か総資産か)への誤解

レーマン方式で手数料を計算する際、「どの金額をベースに計算するか」が仲介会社によって異なり、誤解の原因になることがあります。多くの経営者が「譲渡金額=株式の売却価格」だけに手数料がかかると思っていますが、実際には「企業価値ベース」や「総資産+負債」で計算されることもあります。

たとえば、以下のような違いがあります。

  • 株式譲渡額:純粋に株の売却価格
  • 企業価値ベース:株式価値+負債総額
  • 総資産方式:会社の全資産評価額(含む不動産・棚卸資産など)

これらの違いを理解していないまま契約すると、「思ったよりも大きな金額をベースに手数料がかけられていた」という状況になりやすいのです。

実際にあった例では、経営者が「1億円の譲渡価格」と理解していたところ、仲介会社は「企業価値1.8億円(借入8,000万円込み)」としてレーマン方式を適用し、5%で900万円の手数料を請求してきました。これは経営者の感覚では「約9%の手数料」に相当し、大きな誤解となりました。

このような齟齬を防ぐには、

  1. どの金額に対して料率がかかるのか
  2. 企業価値算出に使われる要素(負債・退職金など)の内訳
  3. 契約書での明文化と説明の有無

を丁寧に確認することが必要です。

まとめると、M&A仲介手数料が「5%」のはずだったのに跳ね上がる理由は、(1)最低報酬の存在、(2)高すぎる株価試算による期待形成、(3)計算対象金額の定義の不一致、という3つの構造的な要因があるからです。これらはすべて、仲介会社の説明力と、売り手側の確認不足によって起こる“情報のズレ”に起因しています。

4. 仲介会社の手口:誤解を誘う営業トークの実例

M&A仲介会社の中には、手数料が高額であるにもかかわらず、契約を取るために「誤解を誘う営業トーク」を用いる業者が存在します。こうした営業手法は、売り手が手数料の全体像を正確に理解できないまま契約してしまう原因になっています。特に、「譲渡金額の5%だけ」といったシンプルな表現は、一見わかりやすいようでいて、実際には多くの情報を省いているため注意が必要です。

こうした営業トークは、悪意があるとは限らないものの、「都合の悪い情報はあえて伝えない」「好意的な印象を与える言い回しを選ぶ」といった形で行われるため、結果的に誤認を生みやすくなっています。ここでは、実際に見られる典型的な誤認誘導のパターンをご紹介します。

よくある営業トークと実態のギャップ

営業トーク 実際の内容
「うちは5%の手数料です」 実際は最低報酬額2,500万円が別途定められており、譲渡金額によっては5%を超える。
「他社も同じですから」 報酬体系や計算方法は仲介会社ごとに異なるため、比較が必要。
「この会社は5億円で売却できました」 案件規模や業種がまったく違う事例を引き合いに出している。
「今なら買い手がすでにいます」 買い手は未確定で、売り手を急がせるための常套句であることが多い。

このように、営業トークでは「安心感」「お得感」「スピード感」を前面に出してきますが、その裏にある契約条件まできちんと読み込まなければ、大きな金銭的負担を背負うことになりかねません。

実際にあったトラブル事例

ある飲食業の中小企業経営者は、「手数料は5%で計算されます」と言われて仲介契約を結びました。譲渡金額は1.2億円だったため、「約600万円程度だろう」と想定していましたが、実際に契約書には「最低報酬額2,500万円」と記載されており、5%を大きく超える請求を受けてしまいました。

営業時に示された試算表は、5億円規模の企業の事例を用いており、自社規模の現実に即した説明がなかったため、「5%という数字だけが頭に残っていた」といいます。

また別のケースでは、「すでに買い手候補がいるので早めに契約を」と促されて契約締結したものの、実際には買い手との接点はなく、結果として1年以上かけてようやく1社の買い手にたどり着いたという事例もあります。この間、時間も労力もかかった上に、成約後はレーマン方式ではなく総資産ベースで手数料が計算され、想定より700万円以上高い報酬を支払う羽目になりました。

こうした営業トークに引っかからないために

仲介会社の営業マンは基本的に「売上(=手数料)」を上げることが使命です。したがって、契約を取るために耳障りの良いことを伝えようとする傾向があります。経営者としては、以下のような対策を取ることが重要です。

  • 話を聞くだけで契約せず、必ず複数社を比較する
  • レーマン方式だけでなく、最低報酬・計算対象の定義も確認する
  • 提示される事例が「自社と似た業種・規模」かを確かめる
  • 営業トークは録音・記録し、後で見直せるようにしておく

さらに、中小企業庁が2022年から運用している「M&A支援機関登録制度」では、登録仲介会社には以下の義務があります。

  1. 契約前に報酬体系を文書で明示すること
  2. 成約報酬の計算根拠を説明すること
  3. 不適切な営業行為を行わないこと

制度の対象となる登録仲介会社かどうかを事前に確認するのも、有効なトラブル予防策となります。

まとめ

仲介会社の営業トークは、巧みに安心感を与える内容が多いため、売り手側が「疑う」姿勢を持たなければ見落とすリスクがあります。「5%です」という言葉の裏には、最低報酬や複雑な計算方式が潜んでいるかもしれません。過大な請求を避けるには、耳障りの良いセールストークに流されず、契約内容を具体的に理解し、根拠を確認することが最も重要です。

5. トラブルを防ぐ!仲介契約前に確認すべき5つの項目

M&Aを成功させるためには、信頼できる仲介会社と契約を結ぶことが不可欠です。しかし実際には、「最初に聞いていた手数料と違った」「契約書に細かく書いてあって驚いた」といったトラブルが後を絶ちません。これを防ぐためには、仲介契約を結ぶ前にチェックしておくべき重要な項目がいくつかあります。

ここでは、M&A初心者でも確実に確認すべき「5つのポイント」を具体的に解説します。

1. 最低報酬額の有無と金額

最初に必ず確認したいのが「最低報酬額」です。たとえば「手数料は譲渡金額の5%」と言われても、契約書の中に「最低報酬額は2,000万円」と明記されていれば、実際には5%を超える高額な請求を受けることになります。

この最低報酬額は、仲介会社によって設定が異なり、以下のような金額帯が一般的です。

仲介会社の規模 最低報酬額の例
大手仲介会社 2,000万円〜3,000万円
中堅・中小仲介会社 500万円〜1,500万円

契約前に「最低報酬額はありますか?」「どのような場合に適用されますか?」と明確に質問し、口頭説明だけでなく、契約書面で確認しておくことが大切です。

2. 手数料の計算方法と対象金額の範囲

手数料の計算方法には、「レーマン方式」が一般的ですが、どの金額に対して何%かけるのか、という点が仲介会社ごとに異なります。たとえば、譲渡金額だけでなく「企業価値」や「役員退職金」「土地・建物の譲渡価格」などが加算されるケースもあります。

以下のような違いがあるため、必ず契約前に確認しましょう。

  • 株式譲渡価格のみで計算
  • 企業価値(株式+負債)で計算
  • その他の金額(退職金・不動産など)も含むかどうか

契約書には「報酬算定の基準となる金額」の定義が必ず記載されていますので、自社にとってどこまでが対象になるのか、理解してからサインすることが必要です。

3. 成約報酬以外の費用の有無

仲介手数料は「成約したら発生する報酬(成功報酬)」と思いがちですが、実際には以下のような費用が追加でかかることもあります。

  • 着手金:契約時に一括支払い(例:100万円)
  • 中間金:基本合意締結時に支払い(例:譲渡額の1%)
  • 月額報酬:支援期間中に毎月支払い(例:30万円×6ヶ月)
  • 実費請求:交通費・資料印刷代・調査費など

中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」によれば、こうした追加報酬については契約前に文書で明示する義務があります。契約書にこれらの項目が含まれているか、事前に詳細を確認しておきましょう。

4. 契約期間と解除条件

M&A仲介契約には有効期間が定められており、通常は6ヶ月〜1年が目安です。この期間内は他の仲介会社と契約できない「専任契約」になっていることもあります。また、途中で解約する際の条件や違約金の規定も重要です。

チェックすべきポイントは以下の通りです。

  • 契約期間の明確な定義(日付や月数)
  • 解除の申し出方法(書面通知・期限など)
  • 解除時の費用負担(中途解約料・実費清算など)
  • 「テール条項」の有無(解除後も一定期間は報酬が発生する)

解約の自由度が高いかどうかで、安心して契約できるかどうかが大きく変わってきます。

5. 担当者のプロフィールと支援実績

契約するのは「仲介会社」ですが、実際に対応するのは「担当者個人」です。担当者の経験や誠実さによって、交渉の質・買い手選定・資料作成・社内対応まで結果が大きく変わります。

担当者に対しては、次のような点を確認しましょう。

  • M&A支援の実績(件数・金額・業種)
  • 資格やバックグラウンド(税理士・公認会計士など)
  • 過去のクライアントの声・評判
  • 契約後の対応方法(面談頻度・報告体制など)

可能であれば、担当者を変更できるかどうかも確認しておくと安心です。

まとめ

M&A仲介契約は、専門用語や報酬体系が複雑で、つい流されてしまいがちですが、あとから「こんなはずではなかった」とならないためには、事前の確認が何よりも大切です。最低報酬の存在、手数料の計算対象、追加費用、契約期間、担当者の質といった5つのポイントを契約前にしっかりと確認することで、トラブルを未然に防ぎ、納得のいくM&Aを実現する第一歩になります。

6. 信頼できる仲介会社を見抜くためのチェックポイント

M&Aを成功させるうえで、どの仲介会社を選ぶかは極めて重要です。手数料トラブルや不適切な対応に巻き込まれないためには、「信頼できる仲介会社かどうか」を見抜く目を持つことが必要不可欠です。表面的な営業トークや会社の知名度だけで判断すると、後から「こんなはずじゃなかった」という後悔につながる可能性があります。

ここでは、実際にM&Aを進める前に確認しておきたい「信頼できる仲介会社のチェックポイント」を具体的に解説します。

登録制度への参加状況を確認する

まず第一に確認すべきなのは、その仲介会社が「中小企業庁のM&A支援機関登録制度」に登録しているかどうかです。これは国が設けた制度で、一定の基準を満たしたM&A業者だけが登録されます。

登録業者には以下の義務があります。

  • 報酬体系の事前説明と明示
  • 成約報酬の計算根拠の説明責任
  • 秘密保持契約書(NDA)の締結
  • 利益相反の排除と行動規範の遵守

登録業者かどうかは、中小企業庁の公式サイトで検索できます。非登録の仲介会社であっても悪質とは限りませんが、最低限の信頼性の指標としてチェックしておくことをおすすめします。

手数料体系が明確であるか

信頼できる仲介会社は、手数料の計算方法や構成要素について、口頭だけでなく書面で丁寧に説明してくれます。特に以下のような点を明確に示してくれるかどうかは重要です。

  • レーマン方式の適用内容(対象金額と料率)
  • 最低報酬額の有無と金額
  • 成功報酬以外の費用(着手金・中間金・実費など)の有無
  • 契約解除時の扱いや違約金の有無

手数料の内訳が不明瞭だったり、「それは契約後に説明します」などの曖昧な返答をされた場合は、慎重に検討するべきです。

担当者の実績と専門性を確認する

どれだけ会社が大きくても、実際に案件を担当するのは「個人」です。そのため、担当者が信頼できる人物であるかどうかは極めて重要な要素です。確認すべきポイントは以下の通りです。

  • M&A支援実績の件数と内容(業種・規模・地域など)
  • 会計・税務・法務の基礎知識の有無
  • 質問への対応スピードと誠実さ
  • 契約後の支援体制(報告頻度や相談のしやすさ)

可能であれば、「過去のクライアントの声」や「担当者指名の可否」についても確認するとよいでしょう。仲介会社によっては、面談時点ではベテランを出し、契約後に経験の浅い若手に交代するケースもあります。

売り手本位の姿勢かどうか

信頼できる仲介会社は、単に「成約させること」をゴールにせず、「売り手の想い」や「譲渡後の会社の未来」に寄り添った提案を行います。以下のような対応が見られるかどうかが、重要な判断材料になります。

  • 無理に契約を急がせてこない
  • 事業内容や経営者の考えを丁寧にヒアリングしてくれる
  • 「安く売ってもとにかく成約させよう」という姿勢ではない
  • 「売り手にとっての納得解」を共に探そうとする

売り手の立場に立って親身に対応してくれるか、それとも「数打てば当たる」式の営業をしているかは、面談時のやり取りや言葉遣いから見えてきます。

囲い込みをしていないか

囲い込みとは、仲介会社が「売り手」と「買い手」の両方を自社内で囲い、他の仲介会社からの紹介や交渉を遮断する行為です。このような形態では、売り手にとって本来得られるはずの買い手情報や競争環境が制限され、不利な条件で成約してしまう可能性があります。

囲い込みが疑われる兆候は以下の通りです。

  • 買い手候補を特定の1社しか提示しない
  • 他の仲介会社の提案を拒否するように言ってくる
  • 買い手への情報開示を自社管理に固執する

信頼できる仲介会社であれば、売り手にとって最善のマッチングを優先し、オープンに情報共有する姿勢を持っています。

まとめ

信頼できる仲介会社を見極めるには、「登録制度への参加状況」「手数料体系の明確さ」「担当者の人柄と実績」「売り手本位の姿勢」「囲い込みの有無」といった複数の観点から冷静に判断する必要があります。知名度や広告の派手さに惑わされるのではなく、実際の対応や契約条件を丁寧に確認することで、後悔のないM&Aパートナー選びが実現できます。

7. もしもトラブルになったら:解決までの3ステップ

M&A仲介会社との契約で「話が違う」「思った以上に高額な手数料を請求された」といったトラブルに直面してしまった場合、焦らずに冷静に対応することが重要です。感情的に相手を責めても事態は好転せず、かえって関係悪化を招くこともあります。

ここでは、実際にトラブルに遭った際にとるべき対応を、段階的に3つのステップに分けてご紹介します。

7.1 仲介会社と交渉して落としどころを探る

まずは直接、仲介会社に対して問題を提起し、話し合いによる解決を試みましょう。多くのケースでは、最初に相談する相手は担当コンサルタントになりますが、トラブルが発生している場合は上席責任者との面談を希望するのが望ましいです。

交渉にあたっては、次のようなポイントを整理して伝えると効果的です。

  • 当初の説明内容(メールや議事録があれば提示)
  • 契約書に記載されていた内容と説明の食い違い
  • どの点で「誤認」や「誤解」が生じたか
  • 売り手として納得できるラインと希望する調整案

相手に「納得感をもってもらえる落としどころ」を提示することで、全面対立を避け、和解に近づく可能性が高まります。また、仲介会社側も自社の評判を損なわないよう、柔軟に対応してくるケースもあります。

ただし、交渉に臨む前に、以下のような準備が重要です。

  • メール・LINE・議事録などの記録を整理する
  • 録音していた打合せ音声があれば保管する
  • 感情的にならず、事実ベースで主張する

信頼関係の再構築を目指しつつ、「どこまでなら譲れるか」「どの条件で合意できるか」を明確にしながら話し合いを進めましょう。

7.2 弁護士に相談して協議・和解を目指す

仲介会社との交渉が決裂した、もしくは話し合いでは解決が見込めない場合は、弁護士に相談することを検討します。特に、契約内容の解釈や説明義務違反の有無など、法的な判断が必要な局面では、専門家の視点が不可欠です。

M&Aトラブルに詳しい弁護士は、以下のような対応をしてくれます。

  • 契約書・メール・記録を基に契約の適法性を精査
  • 説明義務違反や錯誤の余地があるかを判断
  • 代理人として相手方に内容証明を送付
  • 訴訟を避ける方向で和解案の提示

弁護士が介入することで、相手方の姿勢が一変することもあります。特に中堅以上の仲介会社では、訴訟による社会的信用低下を嫌うため、早期に和解を持ちかけてくる可能性があります。

弁護士費用については、不安があれば「初回相談無料」の法律事務所や、「着手金無料+成功報酬型」の事務所を選ぶのも有効です。

7.3 中小企業庁へ報告する方法とその影響

もし仲介会社の行為が悪質であると感じた場合は、中小企業庁への通報も検討に値します。2021年から運用されている「M&A支援機関登録制度」では、不適切な行為を行った登録業者に対し、警告・登録取消処分などの行政対応が行われます。

報告の際には、以下のような手順を踏みます。

  1. 中小企業庁の専用フォームから「不適切事例の情報提供」を行う
  2. 会社名・担当者名・トラブルの詳細を記載(記録添付も可能)
  3. 個別対応を求めるか、制度改善の参考とするかを選択

情報提供フォームはこちらです:
中小企業庁|M&A支援機関に関する情報提供窓口

報告された内容は、制度の見直しや登録業者のモニタリングにも活用されます。特に、複数件にわたって同じ仲介会社への苦情が寄せられた場合、調査対象となる可能性が高まります。

なお、通報をしても自身の案件に直接の補償や返金がなされるわけではありませんが、他の被害を未然に防ぐ意味でも社会的意義は大きいといえます。

まとめ

M&A手数料に関するトラブルが発生した場合、まずは仲介会社との冷静な話し合いから始め、それでも解決しない場合は弁護士による法的対応、さらに悪質な場合は中小企業庁への通報という順で対処していくのが現実的です。感情的に一気に対決姿勢をとるのではなく、証拠と事実をもとに段階的に進めることで、より円満な解決と被害最小化が図れるはずです。

まとめ

M&Aの仲介手数料は「譲渡金額の5%」と聞くと簡単そうに思えますが、実際には多くの落とし穴が存在します。最低報酬や計算方法の違いなどを理解しておかないと、後から予想外の高額請求に悩まされることになりかねません。以下のポイントを押さえて、納得のいくM&Aを実現しましょう。

  1. 最低報酬の有無を確認する
  2. 料率と対象金額を明確化
  3. 営業トークをうのみにしない
  4. 契約内容を細部まで確認
  5. 信頼できる専門家を選ぶ

詳しく知りたい方は、ぜひアーク・パートナーズまでお問い合わせください。

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今すぐ相談。1分で完了