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M&A仲介の裏側を徹底解説|PEファンド・大手仲介の実態と賢いアドバイザー選び

「PEファンドは高値で買ってくれるはず」「大手M&A仲介に任せれば安心」――そんな思い込みをお持ちではありませんか?実はこれらの考え方が、大切な会社売却で大きな失敗を招く原因になることがあります。

本記事では、M&A仲介業界の裏側や本音を踏まえ、経営者が後悔しないための視点をわかりやすく解説します。

■本記事を読むと得られること

  1. PEファンドと事業会社の違いと価格決定の構造がわかる
  2. 大手仲介会社の実態と利益相反のリスクを理解できる
  3. 信頼できるM&Aアドバイザーを選ぶ具体的な基準が得られる

■本記事の信頼性
筆者はM&Aアドバイザー歴10年以上、200件以上の案件に関与し、中小企業庁の登録M&A支援機関として活動しています。現場で培った経験をもとに、経営者に寄り添う誠実な解説をお届けします。

この記事を読み終えたとき、あなたは「仲介業界の本音」を正しく理解し、最適なパートナーを見抜ける判断力を手にすることができます。会社売却を成功させたい方にとって、大きな一歩となるはずです。

1. なぜ今「M&A仲介の本音」を知る必要があるのか

メディアと現実のギャップ

M&A仲介業界に関して、多くの経営者はテレビや新聞、ネット記事を通じて情報を得ています。しかし、メディアが描く姿はあくまで表面的なものであり、現場で実際に起きていることとは必ずしも一致しません。例えば、ニュースでは「大手仲介会社による高額売却の成功事例」が大きく取り上げられる一方で、失敗やトラブルはあまり表に出てきません。そのため「M&Aは必ず成功する」「大手に任せれば安心」という誤解が広まりやすいのです。

実際の現場では、買い手候補が複数現れたものの条件が折り合わずに破談となったり、デューデリジェンスで簿外債務が発覚して売却価格が大幅に下がることも珍しくありません。こうした現実は、広告や宣伝ではほとんど語られないため、情報の非対称性が生じています。

中小企業庁が2023年に発表した「中小企業のM&Aに関する実態調査」でも、売却を検討した経営者のうち約4割が「M&Aに関する正確な情報を得るのが難しい」と回答しています。このような状況からも、メディア情報と現場実態のギャップは無視できない課題であることがわかります。

事例:広告で見たイメージと実際のギャップ

ある経営者は、大手仲介会社のテレビCMを見て「ここなら安心だろう」と契約しました。しかし、実際に担当となったのは入社2年目の若手社員で、企業価値評価や買い手交渉の経験はほとんどありませんでした。結果として交渉は難航し、最終的に提示価格は当初期待の半分以下になってしまったのです。これは極端な例かもしれませんが、現実の現場では「メディアが伝えるイメージ」と「実際の支援体制」に大きな差があるケースが少なくありません。

したがって、経営者がM&Aを考える際には、まずメディア情報をうのみにせず、裏側の構造や仲介会社の実態を自ら理解することが重要になります。

経営者が抱きやすい誤解

M&Aを検討する経営者がよく抱く誤解には、以下のようなものがあります。

  • 「PEファンドは必ず高値で買ってくれる」
  • 「会社の売却価格には客観的な相場がある」
  • 「大手M&A仲介会社に任せれば安心できる」

これらはいずれも一部は真実を含みつつも、全体像としては正しくありません。例えば、PEファンドが高値で買収するのは、既存投資先とのシナジーが明確に見込める場合など限定的です。通常は金融機関からの借入(LBOローン)の返済可能性を前提に価格を設定するため、無条件で高値を提示するわけではありません。

また、「相場」という考え方も誤解を招きやすいものです。不動産のように地域や面積で大体の相場がわかるものとは異なり、企業価値は将来のキャッシュフローやシナジー効果、買い手の戦略的意図によって大きく変わります。したがって「同業だから売却価格は〇倍程度」といった一般論だけでは正確な判断ができません。

実例:相場を誤解した失敗

ある製造業のオーナーは「同業の知人が売却額10億円だったから、自分の会社も同じ程度だろう」と考えていました。しかし実際に買い手候補に提示されたのは6億円で、オーナーは大きなショックを受けました。その背景には、知人企業には独自技術による強力な参入障壁があったのに対し、自社は競合との違いが弱く、シナジーを見いだしにくかったという違いがあったのです。このように「相場感」にとらわれると、現実とのギャップに直面することになります。

さらに「大手に任せれば安心」という誤解も危険です。確かに大手は知名度が高く案件数も豊富ですが、必ずしも一社ごとの支援が丁寧とは限りません。担当者によっては経験不足や成果至上主義の姿勢から、売り手の意向を十分に反映しないまま案件を進めてしまうこともあるのです。

まとめ

このように、メディアの情報と現実のギャップ、そして経営者が抱きやすい誤解は、M&Aを進めるうえで大きなリスクとなります。正しい判断を下すためには、表面的な情報ではなく、仲介業界の裏側や本音を理解することが不可欠です。情報の非対称性を埋め、冷静な視点を持つことが、後悔のないM&A実行への第一歩と言えるでしょう。

2. ファンドは本当に高値で買うのか?幻想と現実

PEファンドの仕組みとLBO制約

多くの経営者は「PEファンドは会社を高値で買ってくれる」というイメージを持っています。しかし実際には、ファンドのビジネスモデルには厳格な制約が存在します。PEファンドは自らの資金だけで買収するのではなく、買収対象企業の将来キャッシュフローを前提に金融機関から借入を行い、自己資金と合わせて買収を実行します。これをレバレッジド・バイアウト(LBO)と呼びます。

このLBOには「返済可能性」という強力な制約があります。銀行は貸したお金を回収できなければならないため、対象企業の事業計画を徹底的にチェックします。特に重要なのは以下の指標です。

  • DSCR(元利金返済カバー率): 企業がどの程度余裕を持って返済できるかを示す指標
  • コベナンツ(財務制限条項): 債務超過や一定の利益割れを起こさないよう、契約で縛られる条件

これらの条件を満たせる範囲内でしか借入は実行されません。したがって、ファンドが提示できる価格の上限は、金融機関が「返済可能」と認める水準に左右されるのです。中小企業庁の報告書(2023年「中小企業のM&A実態調査」)でも、ファンドによる買収価格は「シナリオに基づく合理的水準で決まる」と明記されています。つまり「ファンドは必ず高値で買う」という考えは誤りなのです。

実例:LBO制約による価格低下

ある中堅メーカーでは、オーナーが「PEファンドなら高く買ってくれる」と期待して売却交渉を進めました。しかし、銀行の審査では将来キャッシュフローが不安定と判断され、借入上限が想定より低くなりました。その結果、ファンドが提示できた買収額はオーナーの期待を大きく下回り、交渉は難航しました。この事例は、LBO制約が実際の提示価格に大きく影響する典型例といえます。

事業会社が示すシナジーの価値

一方で、事業会社による買収はファンドとは根本的に考え方が異なります。事業会社は買収後に自社と統合し、シナジー効果を生み出すことを重視します。このシナジーが評価に組み込まれるため、ファンド以上の高値がつく場合も珍しくありません。

シナジーは大きく以下の2種類に分けられます。

種類 内容 具体例
コストシナジー 重複業務や拠点を統合することでコストを削減 本社機能の統合、人員削減、購買の一本化
売上シナジー 双方の強みを掛け合わせて新たな売上を創出 販路共有、新製品開発、ブランドの相互活用

例えば、ある食品メーカーが同業の加工業者を買収したケースでは、物流コストを30%削減できただけでなく、自社ブランドを活用して新規市場を開拓することに成功しました。このようにシナジーは数字に現れる付加価値であり、ファンドでは実現しにくい領域です。

実例:シナジーを評価した高額買収

地方で有力な食品加工会社は、PEファンドからのオファーよりも低い評価額を提示した大手食品メーカーに売却しました。一見すると安く売却したように見えますが、実際には買収後の販路拡大と新商品の共同開発により、従業員の雇用維持と売上拡大を両立させることができました。結果的に、売り手オーナーも「会社の未来を守れた」と高く評価しました。ここからも、買収額の高さだけでなく「どんな価値を生むか」が重要であることがわかります。

戦略によって変わる提示価格

最終的な買収価格は「ファンドか事業会社か」という単純な違いでは決まりません。重要なのは、それぞれの買い手がどのような戦略を描いているかです。例えば、ファンドであっても既存投資先との統合によるシナジーが期待できる場合には、銀行融資枠の範囲を超えてリスクを取る判断をすることもあります。また事業会社でも、シナジーが見込めない場合には慎重な価格提示にとどまることもあるのです。

  • ファンドが高値を提示するケース:既存投資先と統合(アドオン投資)による効率化が可能な場合
  • 事業会社が高値を提示するケース:新市場開拓や技術獲得のために戦略的に高額投資する場合
  • 逆に価格が下がるケース:成長余地が乏しい、競争が激しく収益予測が不安定な場合

実例:戦略の違いによる価格差

あるITサービス企業の売却では、PEファンドは「安定したキャッシュフロー」に基づき合理的な価格を提示しました。一方、ある事業会社は「自社の既存サービスと組み合わせることで大幅な売上増が可能」と判断し、ファンドの1.5倍の価格を提示しました。最終的に売り手は事業会社を選び、M&A後に売上は2倍に成長しました。この事例は「価格を決めるのは買い手の戦略」という事実をよく表しています。

まとめ

「PEファンドは高値で買ってくれる」というのは半分正しく半分誤りです。ファンドにはLBOという構造的な制約があり、無制限に高値を提示できるわけではありません。一方、事業会社はシナジーを重視するため、戦略的価値が大きければファンドを上回る価格を提示することもあります。結局のところ、M&Aの価格は「買い手の属性」よりも「戦略と制約条件」に左右されるのです。売却を検討する経営者は、「誰に売るか」を見極める際に、価格だけでなく将来のビジョンや企業文化との相性も含めて判断する必要があります。これこそが、後悔しないM&Aにつながる道だといえるでしょう。

3. 会社売却の「最適解」をどう見つけるか

事業会社・ファンド・個人投資家の違い

会社を売却する際に「誰に売るか」は最も重要な判断のひとつです。候補先は大きく分けて、事業会社、PEファンド(投資ファンド)、個人投資家の3つに分類できます。それぞれの特徴を理解することで、自社にとっての最適解を見つけやすくなります。

買い手の種類 特徴 メリット 注意点
事業会社 既存事業とのシナジーを目的に買収
  • 相乗効果による高い評価額
  • 雇用・事業承継に前向きなケースが多い
  • 長期的に経営を続ける意思がある
  • PMI(統合プロセス)の負担が大きい
  • 文化や組織風土の違いで摩擦が起きる
PEファンド LBOローンを活用し、将来的な売却益を目的に投資
  • 意思決定が早い
  • 成長戦略や財務管理に長けている
  • 後継者不在の企業に経営人材を派遣することもある
  • 数年後に再度売却される可能性が高い
  • 価格はキャッシュフローの範囲に制約される
個人投資家 サーチファンドや富裕層などが中心。経営参画を前提とする
  • 情熱や専門知識を持った投資家と出会える
  • 柔軟な条件で交渉できることがある
  • 地域密着型の承継にも適する
  • 資金規模に限界がある
  • 経験不足の投資家だとリスクも高い

中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」でも、買い手の属性によって提示条件が大きく異なることが指摘されています。単に「価格が高いから」という理由だけではなく、将来の企業価値や従業員の働き方を含めた観点で比較検討することが重要です。

実例:ファンドより事業会社を選んだケース

ある地方のIT企業は、PEファンドからのオファーと事業会社からのオファーを比較しました。ファンドの提示価格の方が高かったものの、事業会社は全国展開する営業網を活用できることを約束しました。結果として売却後2年で売上は倍増し、従業員の待遇改善にもつながりました。この事例は「短期的な価格」よりも「長期的な成長」を重視した成功例といえます。

買い手規模とマッチングの考え方

売却先を選ぶ際には「買い手企業の規模」も重要な要素です。よく言われるのは売り手企業の売上の5〜10倍程度の規模が理想という目安です。これは、買収規模が大きすぎると意思決定が遅れ、逆に小さすぎると統合メリットが小さくなるためです。

  • 規模が大きすぎる買い手:小規模案件は優先順位が低く、経営統合も軽視されやすい
  • 規模が小さすぎる買い手:資金調達に時間がかかり、条件交渉が不安定になりやすい
  • 適切な規模の買い手:財務余力と統合の柔軟性を兼ね備え、スムーズなPMIが期待できる

ただし、これはあくまで一般論に過ぎません。経済産業省がまとめた「事業承継ガイドライン」でも「買い手規模にこだわりすぎず、戦略的な適合性を優先すべき」としています。たとえば、革新的な技術や特許を持つベンチャー企業は、大手メーカーに高額で買収されることも少なくありません。

実例:小規模企業を大手が買収したケース

バイオ関連のスタートアップ企業が、売上数億円にもかかわらず、大手製薬会社から数十億円規模で買収された事例があります。これは、その企業が持つ特許技術が大手にとって新薬開発の突破口となりうる極めて重要な資産だったからです。このように「規模の目安」はあっても、最終的には戦略上の必要性が価格を大きく左右します。

自社の強みを活かす視点

会社売却の最適解を見つけるためには、自社の「強み」を正しく認識することが欠かせません。強みを明確にすることで、買い手にとっての価値が浮き彫りになり、より高い評価や有利な条件を引き出せるからです。

強みには大きく以下のような種類があります。

  1. 技術力や特許: 他社が真似できない技術は高い参入障壁となる
  2. 顧客基盤: 長年築いた取引先やブランドの信用は継続的なキャッシュフローにつながる
  3. 人材: 熟練社員や経営チームは事業継続に不可欠
  4. 許認可: 医療・建設などの業界で必要なライセンスは希少価値が高い
  5. 地域密着性: ローカル市場での強固なシェアは大手にとって魅力的

こうした強みをIM(企業概要書)やプレゼンで適切にアピールできれば、買い手の評価を大きく高めることが可能です。中小企業庁のデータによれば、事業承継型M&Aにおいて「技術やブランド力」を理由に高額評価された事例は全体の約30%にのぼります。

実例:強みを正しく伝えたことで高額売却に成功

ある地方の建設会社は、地元でのシェアが高いにもかかわらず、当初は「地方企業だから低評価だろう」と考えていました。しかし、アドバイザーの助言により「公共工事での豊富な実績」「地元自治体との信頼関係」を強みとして打ち出しました。その結果、都市圏の大手建設会社が地域進出の足掛かりとして高値で買収を決断しました。このように、強みを正しく言語化することで予想以上の成果を得られることがあります。

まとめ

会社売却の「最適解」は一律に決まるものではなく、買い手の種類・規模・戦略、そして自社の強みによって大きく変わります。事業会社はシナジーを重視し、ファンドは財務規律を優先し、個人投資家は情熱や柔軟性を武器にします。買い手規模も重要な要素ですが、決め手となるのは「自社がどんな価値を提供できるか」です。経営者は、自社の強みを冷静に把握し、それを最大限に活かせる相手を選ぶことで、価格だけでなく従業員や事業の未来まで守ることができるのです。

4. 「大手M&A仲介=安心」という思考停止の罠

物上げ営業と担当者の経験不足

多くの経営者は「大手M&A仲介会社に任せれば安心」と考えがちです。しかし実際には、その知名度や広告のイメージと裏腹に、担当者の経験不足が原因でトラブルに発展するケースも少なくありません。特に大手の仲介会社は人材採用を拡大しているため、入社2〜3年目の若手社員が最前線で案件を担当することが珍しくないのです。

このような背景から、仲介会社の営業手法が「物上げ」と呼ばれる売り案件の囲い込みに偏ってしまうことがあります。つまり、売却希望企業をいかに多く契約するかがKPI(評価基準)になっており、案件の品質やオーナーに寄り添った助言よりも「案件数の確保」が優先されてしまうのです。

  • 売却戦略を十分に検討せず、数多くの企業に一斉打診してしまう
  • 買い手候補の質よりもスピードを優先して交渉を進める
  • 企業価値評価が粗雑で、正しい価格レンジが示されない

中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」でも、仲介会社を選ぶ際には「担当者の経験やスキルを確認することが重要」と明記されています。つまり、大手だから安心ではなく「誰が担当するのか」を冷静に見極めなければならないのです。

実例:担当者の経験不足が招いた失敗

ある地方の製造業オーナーは大手仲介会社に相談しました。テレビCMを見て安心感を抱いたためです。しかし担当になったのはM&A経験がほとんどない新人で、企業価値の算定を誤り、相場より大幅に安い価格で買い手候補に提示してしまいました。結果的にオーナーは条件に不満を持ち、契約は破談。大手だからといって安心できない現実を痛感する出来事となりました。

利益相反と両手仲介の構造的欠陥

大手仲介会社のビジネスモデルの多くは「両手仲介」です。これは売り手と買い手の双方から手数料を受け取る仕組みであり、一見すると効率的ですが、実際には利益相反という大きな問題を抱えています。

仲介会社にとって最も重要なのは「取引を成立させること」であり、必ずしも売り手の利益を最大化することではありません。なぜなら、案件が成立しなければ手数料が入らないため、多少条件が悪くても「成立させる」方向に働くからです。

  • 売り手に不利な条件でも妥協を促される
  • 価格交渉で買い手の立場を優先するケースがある
  • 本来は慎重に行うべきデューデリジェンスが形骸化する

このような利益相反は、売り手オーナーにとって大きなリスクです。経済産業省も「M&A仲介における利益相反の可能性」に警鐘を鳴らしており、FA(フィナンシャル・アドバイザー)として売り手のみに立つ支援の重要性を強調しています。

実例:両手仲介による不利益

あるサービス業のオーナーは、大手仲介会社の両手取引でM&Aを進めました。買い手候補はPEファンドでしたが、提示価格はオーナーの期待より2割低いものでした。担当者は「市場では妥当です」と説明し、契約を急がせました。しかし後に、他の候補企業からより高い条件があったことが発覚。仲介会社は「交渉が複雑になる」と判断して意図的に提示しなかったのです。これはまさに利益相反の典型的な弊害です。

本当に信頼できるアドバイザーの条件

では、経営者が安心して任せられるM&Aアドバイザーとはどのような存在でしょうか。大手か中小かではなく、次のような要素を備えているかどうかがポイントです。

  1. 売り手専属であること: 利益相反のないFA契約で、売り手の利益を守る姿勢がある
  2. 担当者の経験と実績: 担当者が過去に関わった案件数や業種を確認できる
  3. 料金体系の透明性: 着手金や成功報酬の基準が明確で、不透明な追加費用がない
  4. 買い手ネットワークの質: 単なる数ではなく、戦略や業界知識を持った買い手候補とつながっている
  5. 倫理観と誠実さ: 短期的な利益ではなく、オーナーや従業員の未来を尊重する姿勢がある

中小企業庁や金融庁も「M&A支援機関に求められるのは透明性と誠実性」と繰り返し強調しています。つまり、大手かどうかではなく「担当者と会社がどれだけ誠実に売り手に向き合っているか」を見極めることが肝心なのです。

実例:信頼できるFAの支援で成功

ある卸売業のオーナーは、当初大手仲介会社に依頼しましたが、利益相反の構造に不安を覚え、途中で売り手専属のFAに切り替えました。FAは徹底的にオーナーの希望をヒアリングし、複数の買い手候補と並行交渉を実施。その結果、提示価格は当初より3割以上高く、従業員の雇用条件も改善された形で成約しました。これは「誰に任せるか」がM&Aの結果を大きく左右することを示す好例です。

まとめ

「大手M&A仲介だから安心」という思考停止は危険です。大手仲介には物上げ営業や担当者の経験不足、そして両手仲介による利益相反といった構造的な問題が存在します。本当に信頼できるアドバイザーは、大手かどうかではなく売り手専属性・経験・透明性・ネットワークの質・倫理観を兼ね備えた存在です。経営者がこの視点を持つことで、M&Aの成功確率は飛躍的に高まるのです。

5. M&A市場のいま|案件は本当に枯渇しているのか?

2025年の需給バランスの変化

M&A市場について「売却案件が枯渇しているのではないか」と不安を持つ経営者は少なくありません。しかし実際には、近年の市場環境はむしろ売り手有利の状況が続いています。これは、経営者の高齢化や事業承継問題が深刻化している一方で、買い手企業は成長戦略として積極的にM&Aを進めているためです。

中小企業庁の「2023年版中小企業白書」によれば、日本の中小企業経営者の平均年齢は60歳を超えており、今後10年以内に70歳を迎える経営者が全体の約6割に達するとされています。つまり、事業承継型のM&A案件は今後も安定的に発生する見込みです。

一方で、買い手側のニーズは増加の一途をたどっています。経済産業省の「M&Aの現状に関する調査」では、上場企業の約7割が「今後3年以内にM&Aを検討する」と回答しており、特に新規事業参入やDX(デジタルトランスフォーメーション)対応のための買収意欲が高まっています。

  • 売り案件の供給:経営者の高齢化により継続的に増加
  • 買い手企業の需要:成長戦略・海外展開・人材獲得のため拡大
  • 市場全体の構造:売り手1社に対して複数の買い手が競争する構造へ

つまり2025年現在のM&A市場は「案件が枯渇している」のではなく、「優良案件をめぐって競争が激化している」というのが正確な理解です。

実例:製造業の案件に10社以上が殺到

ある中堅製造業が売却を検討したところ、10社以上の買い手候補から打診がありました。背景には「人材確保」と「技術力の獲得」を目的とする企業の増加があり、結果的に競争が激しくなったことで最終的な売却価格は当初の期待を大きく上回りました。これは需給バランスが売り手に有利に働いた典型例です。

買い手過多がもたらす売り手優位の現実

買い手企業の数が売り案件に対して過剰になると、自然と売り手の交渉力は高まります。2025年の市場では、特に収益基盤が安定した中堅企業や成長性のあるベンチャーに対して、多数の買い手が競合する傾向が強まっています。

これは住宅市場に例えるとわかりやすいでしょう。人気エリアのマンションに購入希望者が殺到すれば、価格は上昇し、売り手は条件交渉において主導権を握ります。M&A市場でも同じ構造が生まれており、売り手にとって有利な状況が広がっているのです。

  • 複数の買い手候補が存在することで価格競争が起きる
  • 契約条件(雇用維持・役員待遇など)でも有利な提案を受けやすい
  • 交渉のスピードや柔軟性を比較検討できる

一方で、この環境が常に「売却成功」を保証するわけではありません。市場が活発だからこそ、交渉の進め方や情報管理の方法を誤ると、買い手候補を失ったり、価格が想定より下がってしまうリスクもあるのです。

実例:複数交渉で条件改善に成功

ある食品メーカーは、最初に提示された条件に不満を持ちながらも交渉を継続しました。その後、別の大手流通企業からより良い条件での提案を受け、最終的に当初の条件より2割高い価格、かつ従業員雇用の維持を約束した契約に至りました。これは買い手過多の状況を戦略的に活用した成功例です。

選択肢が多いからこそ難しい意思決定

買い手が多いことは一見有利に思えますが、経営者にとっては「どの相手を選ぶべきか」という新たな課題を突きつけます。価格だけでなく、企業文化の相性や従業員の将来、地域社会との関係など、複数の観点で判断する必要があるからです。

例えば、以下のような比較軸があります。

  1. 価格条件: 提示された買収額、支払い方法(現金・株式交換など)
  2. 従業員の待遇: 雇用維持、給与・福利厚生の改善有無
  3. 経営の自由度: オーナーが一定期間残る場合の役割や権限
  4. シナジー効果: 技術や販売網の活用可能性
  5. 取引の確実性: 買い手の資金力や交渉のスピード

つまり、売り手は「誰に任せれば自社や従業員の未来が守られるか」を見極める必要があります。情報量が増えることで選択は難しくなりますが、逆に言えば適切なアドバイザーと共に検討することで、より納得感のある決断が可能になります。

実例:条件比較で最適な相手を選んだケース

あるIT企業は、3社の買い手候補から条件提示を受けました。最も高い価格を提示したのは海外ファンドでしたが、従業員の雇用維持については不透明でした。一方で、国内大手IT企業は価格は若干低いものの「全従業員の雇用継続」と「新規事業への積極投資」を約束。最終的にオーナーは後者を選び、従業員のモチベーションを維持した形で成約しました。この事例は「価格だけで判断しない」ことの重要性を示しています。

まとめ

2025年のM&A市場は「案件が枯渇している」のではなく、「優良案件をめぐって競争が激しくなっている」状態です。経営者にとっては売り手優位の環境ですが、同時に複数の選択肢を前に高度な判断を迫られる時代でもあります。だからこそ、単なる価格交渉にとどまらず、従業員や地域、そして自社の未来を託せる相手を選ぶ視点が欠かせません。そしてその意思決定をサポートするアドバイザーの存在が、これまで以上に重要になっているのです。

6. M&A価格に「相場」は存在しない

企業価値評価の代表的手法

M&Aにおいて最も誤解されやすいのが「会社売却には相場がある」という考え方です。実際には不動産のような明確な相場は存在せず、買収価格は複数の評価手法と買い手の戦略によって大きく変わります。一般的に使われる代表的な評価手法は以下の3つです。

  • DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法): 将来の事業計画から生み出されるキャッシュフローを現在価値に割り引いて算出する方法です。予測の信頼性に大きく左右される特徴があります。
  • マルチプル法(類似会社比較法): 上場企業や同業他社の取引事例を参考に、売上やEBITDAの倍率を基準として評価する方法です。ただし、完全に同じ条件の会社は存在しないため、調整が必要です。
  • 純資産法(コストアプローチ): バランスシート上の資産・負債を基準に会社の価値を測る方法です。安定した収益を持たない企業や清算価値の把握に有効ですが、将来性は反映されません。

中小企業庁の「事業承継ガイドライン」でも、これらの手法を組み合わせて評価することが推奨されています。つまり、単一の数字ではなく「価格の幅」が存在するのがM&Aの特徴なのです。

実例:同じ企業が評価手法によって大きく異なる結果に

ある製造業企業を評価した際、DCF法では8億円、マルチプル法では10億円、純資産法では6億円という結果が出ました。つまり、評価方法によって2倍近い差が生まれることもあるのです。この幅の中で、買い手の戦略や交渉力によって最終価格が決まります。

戦略・交渉・タイミングによる価格変動

企業価値評価の理論値はあくまで出発点にすぎません。実際の取引価格は、買い手がどのような戦略を持っているか、交渉の進め方、さらには市場環境やタイミングによって大きく変動します。

  • 買い手の戦略: 買収によって新市場に参入できる場合や、既存事業とのシナジーが強い場合は高値を提示する傾向があります。
  • 交渉の巧拙: 売り手が専門家を活用し、複数の買い手候補と並行して交渉を進めることで価格が引き上げられるケースがあります。
  • 市場環境・タイミング: 業界再編期や金融環境の変化により、資金調達コストが低い時期は買収意欲が高まり、価格が上昇しやすい傾向があります。

経済産業省の調査でも、M&A価格は「理論的な算定値」よりも「買い手固有の事情」に左右されると報告されています。つまり、相場ではなく「相手次第」というのが実態です。

実例:同業他社とファンドで提示額が倍違ったケース

あるIT企業の売却では、ファンドの提示額が12億円だったのに対し、同業の大手IT企業は20億円を提示しました。これは、後者にとって新規事業拡大の戦略的価値が高かったためです。交渉の結果、売り手は価格だけでなく「従業員の雇用維持」を含めた条件を優先し、同業他社との契約に至りました。

「適正価格」の幻想に惑わされないために

多くの経営者が「自社の適正な売却価格」を知りたいと考えますが、M&Aにおいてそれは幻想に近いものです。存在するのは「評価の幅」と「交渉の結果としての価格」であり、唯一の正解は存在しません。

そのため、経営者が意識すべきポイントは次の通りです。

  1. 単一の評価額にこだわらず、複数の手法でレンジを把握する
  2. 複数の買い手候補を競わせ、交渉の余地を広げる
  3. 価格だけでなく、雇用・ブランド維持など非金銭的条件も重視する
  4. 経験豊富なアドバイザーを選び、交渉を有利に進める

つまり、M&Aにおける「適正価格」は固定的な数値ではなく、売り手と買い手の交渉と状況に応じて決まる相対的なものなのです。

実例:プレゼンで価格が引き上げられたケース

ある医療関連企業のオーナーは、自社の強みを適切にアピールするプレゼンを実施しました。その結果、買い手側の経営陣が成長性を再評価し、当初提示額より3割高い条件を提示しました。このように、売り手自身の準備と伝え方によっても価格は変わるのです。

まとめ

M&A価格に不動産のような「相場」は存在しません。存在するのは、DCF法・マルチプル法・純資産法などの理論的な評価レンジと、買い手の戦略・交渉・タイミングによって変動する取引価格です。だからこそ、経営者は「相場を知る」のではなく「どのように価格を引き上げ、納得できる条件を勝ち取るか」を意識することが重要です。そのためには、複数の候補と交渉を進め、信頼できるアドバイザーと共に準備を整えることが成功への鍵となります。

7. M&Aは総合格闘技|アドバイザー選びがすべてを決める

売り手に寄り添うFAの役割

M&Aは、財務・法務・税務・労務・戦略といった幅広い知識が必要な「総合格闘技」と言われます。そのため、売り手にとって最も重要なのは、自社の立場に100%寄り添い、利益を守るフィナンシャル・アドバイザー(FA)を選ぶことです。仲介会社と違い、FAは売り手専属で交渉を進めるため、利益相反が起こりにくく、安心して任せられる点が大きなメリットです。

経済産業省も「中小M&Aガイドライン」(2020年改訂版)の中で、売り手が適切な助言者を選ぶことの重要性を明記しています。売却プロセスでは情報の非対称性が強く、専門知識を持たない経営者が自力で交渉に臨むことは極めて不利になりやすいためです。

実例:FAを選んだことで数億円高く売れたケース

ある製造業のオーナーは当初、大手仲介会社に相談していましたが、提示された想定売却価格に不満を持ち、FAに切り替えました。FAは複数の業界大手や海外企業を候補に加え、競争入札を実施。その結果、当初の想定より3億円以上高い条件で成約しました。売り手の利益を第一に考えるFAの存在が、経営者の将来を大きく左右した事例です。

ネットワークと交渉力の重要性

売却価格や条件は、アドバイザーがどれだけ「質の高いネットワーク」と「交渉力」を持っているかで大きく変わります。単に候補先の数が多いだけでは不十分で、それぞれの買い手の戦略や過去のM&A実績、意思決定のスピードを把握しているかどうかが重要です。

  • ネットワークの質: 業界ごとのキーパーソンや海外投資家とも直接つながりがあるか
  • 交渉力: 買い手に対して価格・条件を引き上げる論理を組み立てられるか
  • 案件推進力: デューデリジェンスや契約交渉を円滑にまとめられるか

中小企業庁の調査でも、M&A成功企業の多くが「複数候補との交渉を同時進行」した結果、価格や条件を有利にできたと回答しています。これは、アドバイザーが広いネットワークを活用し、適切に交渉をリードできたからこその成果です。

実例:交渉力不足で損をしたケース

あるサービス業のオーナーは、仲介会社の担当者任せで交渉を進めましたが、買い手の提示する厳しい条件を覆せず、従業員の雇用条件に不利な契約で合意せざるを得ませんでした。後に他の専門家に相談したところ、交渉の仕方次第で条件改善の余地が大きかったと判明しました。アドバイザーの交渉力不足が経営者の後悔につながった典型例です。

倫理観と誠実さが経営者を守る

M&Aは一度きりの大きな意思決定であり、経営者の人生そのものに直結します。そのため、アドバイザーには専門知識やネットワーク以上に高い倫理観と誠実さが求められます。利益相反を避け、透明な報酬体系を提示し、経営者の利益を最優先に行動できるかが、信頼できるアドバイザーを見極める鍵です。

特に日本のM&A仲介会社の多くは「両手取引」(売り手・買い手双方から手数料を受け取る仕組み)を採用しており、利益相反のリスクを抱えています。対して、FAは売り手専属であるため、売り手の利益を守ることに集中できる点が大きな違いです。

  • フィー体系が明確か(成功報酬の基準が透明か)
  • 案件獲得だけでなく成約後のPMI(統合プロセス)まで意識しているか
  • 経営者に不都合でも事実を率直に伝えてくれるか

実例:倫理観あるアドバイザーに救われた事例

ある地方企業のオーナーは、仲介会社から早期の売却を強く勧められていました。しかしFAに相談したところ、「まだ2年準備すれば売却価値がさらに高まる」と助言を受けました。結果、事業改善を行った後に売却し、最初の想定額の1.5倍で成約。アドバイザーの誠実さがオーナーの未来を守った成功事例です。

まとめ

M&Aは財務・法務・交渉術が絡み合う「総合格闘技」であり、その勝敗を決めるのは誰をアドバイザーに選ぶかにかかっています。売り手に専属で寄り添うFAを選ぶことで、利益相反を避け、安心して交渉を進められます。また、質の高いネットワークと交渉力を持つアドバイザーは、売却条件を最大化します。さらに、誠実さと倫理観を兼ね備えた専門家こそが、経営者の人生を守る真のパートナーです。つまり、M&A成功の最大のポイントは「どの相手に会社を売るか」ではなく「どのアドバイザーと戦うか」なのです。

 

まとめ

M&Aは会社の未来を左右する大きな決断です。本記事で解説したように、業界の裏側を正しく理解し、信頼できるアドバイザーと共に進めることが成功の鍵となります。特に「相場」に惑わされず、交渉や戦略によって価値を最大化する視点が欠かせません。

  1. 仲介の本音を正しく知る
  2. 価格は相場では決まらない
  3. 信頼できる専門家を選ぶ

後悔しないM&Aを実現するためには、早めの準備と正しい知識が不可欠です。詳しく知りたい方は、ぜひアーク・パートナーズまでお問い合わせください。

 

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