悪質FAに注意!中小企業M&Aで騙されないための見極めポイントと実例解説
「信頼できるFA(ファイナンシャル・アドバイザー)を選んだつもりが、実は裏で買い手と結託していた…」
そんな中小企業M&Aにおける悪質FAのトラブルに不安を感じていませんか?
本記事では、そうしたお悩みをお持ちの経営者の方へ向けて、実際の悪質FA事例とその見分け方を、現場経験に基づいてわかりやすく解説します。
■本記事を読むと得られること
- 悪質なFAに共通する特徴と見抜き方がわかる
- FAと仲介業者の構造的な違いが理解できる
- 信頼できるM&Aアドバイザーを選ぶ判断軸がわかる
■本記事の信頼性
筆者はM&Aアドバイザー歴10年以上、累計200件以上のM&A支援実績を持ち、中小企業庁登録の支援機関として活動しています。誠実・専門・迅速を信条に、現場目線でのアドバイスを行っています。
この記事を読むことで、「見せかけの味方」ではなく、真に信頼できるFAと出会うための判断力が身につきます。
大切な会社を守るためにも、ぜひ最後までご覧ください。
1.なぜ「FA選び」で失敗するのか?
中小企業M&Aにおいて、「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」という肩書きを信じて依頼したのに、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう――そんな事例は少なくありません。FAは本来、売り手または買い手のどちらか一方に立って支援を行う専門家ですが、その信頼性や力量には大きな差があるのが現実です。特に中小企業のM&Aでは、「FAなら安心」と安易に考えることで、失敗につながるケースが後を絶ちません。
なぜそのような事態が起こるのでしょうか。その背景には、FAという業務の特殊性、契約構造の誤解、そして業者のモラルのばらつきがあります。
FAは中小企業M&Aにとって“割に合わない商売”である
まず前提として、FA業務は「片手報酬」、つまり売り手(もしくは買い手)の一方からしか報酬を受け取らない仕組みです。これは、「両者から報酬を取る仲介業者」との明確な違いであり、利益相反を避ける構造として評価されています。しかし、現実にはこの構造がFAを中小企業M&A市場から遠ざけている原因にもなっています。
なぜなら、FAの業務には以下のような高度なスキルとリスクが伴うからです:
- 法務・財務・税務の知見を前提としたアドバイス力
- 利害が対立する相手との交渉力
- 社長の意思決定を後押しするマネジメント能力
これらを高いレベルでこなすには時間とコストがかかります。にもかかわらず、受け取る報酬は片手のみ。中小企業のM&Aでは取引額も限定的なため、「費用対効果が悪すぎる」と判断するFAが多いのです。
数字が語るFA不足の現実
中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」や「M&A支援機関登録制度」によれば、国内の中小企業M&A支援の主流は仲介業者であり、FAは全体のごく一部にとどまります。特に1億円以下の小規模案件では、FAが受託することは稀です。
さらに、登録FAの中には大企業や上場企業を中心に活動しており、中小企業の案件には手を出さないというスタンスの者も少なくありません。つまり、数が少ないうえに実質的に利用できるFAはさらに限られているということです。
「FA選び失敗」の3大パターン
ここでは、実際にM&A現場でよく見られる「FA選びの失敗パターン」をご紹介します。
失敗パターン | 具体的な内容 |
---|---|
①スキル不足 | 法務・税務の理解が浅く、買い手との交渉に負ける |
②仲介との違いを理解していない | FAなのに「両者の調整役」だと誤解し、動きが不明瞭 |
③実質的に仲介と変わらない構造 | 別のFAを通じて両者とつながり、実質は“分割仲介” |
こうしたパターンは、「FAなら味方になってくれる」という先入観から発生するものです。ですが、FAを名乗っていても、実態はただの営業マンであることも少なくありません。
実例:看板だけの“なんちゃってFA”に依頼したケース
とある売却案件で、オーナー経営者が「FA」と名乗る個人事業主に依頼した事例がありました。このFAは「元証券会社勤務」としてアピールしていたものの、M&A支援実績は皆無に等しく、最終的には買い手からの質問にすら答えられない状態に。案件は途中で頓挫し、オーナーは半年の時間と弁護士費用を無駄にする結果となりました。
このケースでは、FAという肩書きに安心してしまい、過去実績や取引の透明性などの“裏取り”を怠ったことが失敗の原因でした。契約前に第三者のセカンドオピニオンを求めていれば、未然に防げた可能性が高かったといえます。
信頼できるFAは「契約形態」ではなく「人」で見極める
結局のところ、FAを選ぶ際に大切なのは「FAだから安心」ではなく、その人が本当にあなたの会社の将来を考えて行動してくれるかどうかです。
たとえば、契約時に以下のような説明をしてくれるFAは信頼に値します:
- 業務範囲と報酬の内容を明文化している
- 買い手とは契約上も実質上も一切関係がないと明言している
- 自らができない分野は外部専門家と連携すると明言している
逆に、以下のような対応をするFAは注意が必要です:
- 報酬体系を曖昧にする
- 「全部任せてください」と中身を見せずに話を進めたがる
- 他の案件での具体的な実績を聞いてもはぐらかす
まとめ
「FA」という名称に安心してしまうと、かえって悪質業者に足元をすくわれる危険があります。特に中小企業M&Aでは、FAの数が少ないうえ、実力もまちまちです。大切なのは肩書きよりも、「誰がどのように支援してくれるのか」をしっかり見極めることです。
契約前には、業者の過去実績、契約形態、説明姿勢を慎重に確認し、不安があればセカンドオピニオンも活用してください。M&Aは一度きりの大きな決断だからこそ、支援者選びでの失敗は致命傷になりかねません。
2.FAと仲介業者の違いを初心者向けに解説
中小企業M&Aにおいて「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」と「仲介業者」は、いずれもアドバイザーとして関与しますが、その役割や報酬体系、立場の違いを理解していないまま依頼してしまうと、大きなトラブルや誤解につながります。
特に、「FA=自分の味方」「仲介=中立だから安心」といったイメージは、実務では必ずしも正しくありません。初心者の方ほど、この2者の違いを正確に理解しておくことが、安全なM&Aの第一歩です。
FAと仲介の根本的な違いは「誰のために動くか」
まず、FAと仲介業者の最大の違いは、「どちらの立場に立って行動するか」です。以下のように整理できます。
項目 | FA(ファイナンシャルアドバイザー) | 仲介業者 |
---|---|---|
契約先 | 売り手 または 買い手 | 売り手・買い手の両方 |
立場 | 片方の代理人 | 中立的な調整役(建前) |
報酬体系 | 片手報酬(契約者からのみ) | 両手報酬(双方から) |
役割 | 交渉・助言・利害代表 | スケジュール管理・資料伝達 |
利益相反の有無 | なし(原則) | 構造上発生しやすい |
FAは自社の利益を代表して交渉や戦略立案を行う「味方」として機能します。対して仲介業者は、双方の意見を調整する「仲立ち」ですが、両者から報酬を得るため、必ずしも売り手や買い手の味方とは限りません。
報酬構造が“行動の方向性”を左右する
FAと仲介業者の立場の違いは、最終的に「誰の利益を優先するか」という行動にも直結します。FAは自分のクライアントからしか報酬を得ないため、クライアントの利益を最大化するために交渉を進めます。
一方で仲介業者は、売り手と買い手の両方から報酬を得る「両手型」のビジネスモデルです。そのため、
- とにかく成約を急ぐ(成約=報酬発生のため)
- 売り手に不利な条件も「合意優先」で進める
- 買い手側に都合のいい情報だけを渡す
といった行動を取るリスクが構造的に存在します。これは売り手・買い手双方にとって注意すべきポイントです。
実例:仲介業者の「中立」によって損害を受けたケース
ある売却案件では、売り手が仲介業者に依頼し、買い手もその仲介業者を通じて交渉を進めていました。当初は「両者の調整役として中立に進める」と説明されていましたが、交渉後半で買い手側の希望が一方的に通り、売り手が大幅に価格を下げざるを得ない状況に追い込まれました。
後日、売り手が第三者のFAに相談したところ、「その条件なら再交渉で2割以上の価格上昇は見込めた」と指摘され、悔しい思いをされたとのことです。
このように、仲介業者は中立を装いつつも「成約させること自体」が目的となってしまうことがあり、特に知識の乏しい売り手にとっては不利な立場になることがあります。
実例:FAが「味方」として機能した成功ケース
逆に、別の案件では売り手が独立系FAに依頼し、買い手との交渉を全面的に任せました。このFAは報酬の算定基準や業務範囲も明示し、必要に応じて外部の税理士・弁護士と連携しながら、最終的には当初の想定より15%高い条件での成約に成功しました。
このように、FAは「味方」として一貫して売り手の利益最大化を図れる存在であり、経営者にとって心強いパートナーとなり得ます。ただし、FAであれば誰でも良いというわけではなく、信頼性やスキルの見極めが非常に重要です。
FAと仲介の向き・不向きの整理
それぞれのメリット・デメリットを整理すると以下のようになります。
分類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
FA |
|
|
仲介 |
|
|
まとめ
FAと仲介業者は、「役割」「立場」「報酬構造」において根本的な違いがあります。信頼できるアドバイザーを選ぶためには、「自分の立場に立ってくれるのは誰か」という視点を持つことが非常に重要です。
FAを選べば絶対に安心、仲介なら必ず危ない、という単純な話ではありませんが、仕組みと立場の違いを理解することで、M&Aの進め方が大きく変わります。後悔しない判断をするためにも、まずはこの違いを正しく知っておくことが、すべてのはじまりです。
3.中小企業M&AにおけるFA不足の理由
中小企業M&Aの現場では、「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」を見つけるのが難しいという声が多くあります。FAは本来、売り手または買い手の味方としてアドバイスを行う存在ですが、実際にはこの役割を担ってくれる専門家が圧倒的に少ないのが現状です。
なぜ、FAは中小企業のM&Aにおいて不足しているのでしょうか。ここでは、構造的な背景や実務上の事情を交えながら、その理由をわかりやすく解説していきます。
FA業務は「片手報酬」のため、収益性が低い
FAが中小企業M&Aを敬遠する最も大きな理由は、収益性の低さにあります。FAは、売り手または買い手のいずれか一方と契約し、その片方からのみ報酬を得る「片手報酬」が基本です。これに対して、仲介業者は売り手と買い手の両方から手数料を受け取る「両手報酬」であるため、1件あたりの収入が大きくなります。
以下の比較表をご覧ください。
項目 | FA | 仲介業者 |
---|---|---|
契約形態 | 片方と専属契約 | 売り手・買い手両方と契約 |
報酬の種類 | 片手報酬 | 両手報酬 |
報酬の総額 | 通常500万円〜1,000万円程度 | 1,000万円〜2,000万円程度 |
対象案件の傾向 | 10億円以上の中〜大型案件が多い | 中小企業案件(〜5億円)が主流 |
FAとして高品質な支援を提供するには、法務・財務・交渉力といった幅広いスキルを活かす必要があり、調査や分析にも多くの時間とリソースが必要です。ところが、中小企業の案件では、報酬が数百万円にしかならず、その対価としては割に合わないと判断されやすいのです。
実務上の労力とリスクが高すぎる
中小企業M&Aには、特有の困難があります。
- 財務・法務資料が整っておらず、初期段階での整備に手間がかかる
- オーナー経営者との意思疎通に時間がかかる
- 属人的な経営で「見えないリスク」が多い
- 買い手候補のネットワークが限られており、マッチングが難しい
このような案件を時間をかけてサポートしても、成約しなければ報酬が発生しない「完全成功報酬型」が主流です。つまり、FAにとっては高リスク・低リターンの業務になってしまうのです。
特に独立系FAや小規模なアドバイザリーファームでは、人的リソースに限界があり、「時間と労力をかけてまで受けたくない」と判断されることも多々あります。
データで見るFAの受託傾向
中小企業庁が公開している「M&A支援機関の登録状況」(令和5年時点)によると、登録FAは全国で約2,000機関存在する一方で、その大半は年間に数件しかM&Aを扱っていない、いわば“登録のみ”の状態です。
また、日本M&Aセンターのような大手仲介企業の公表資料によれば、年間成約件数の約9割は仲介スキームで行われており、FA形式のM&Aはごく一部にとどまっているのが実態です。
実例:FAに依頼できず「仲介しか選べなかった」ケース
ある事業承継案件では、売上約3億円のメーカーのオーナーが「片手で味方になってくれるFAを探したい」と希望しました。しかし、複数のFAに問い合わせた結果、以下のような回答が返ってきました。
- 「当社では5億円未満の案件は対象外です」
- 「報酬が合わないため、お引き受けできません」
- 「他の大型案件と重なっているため対応できません」
結果的に、紹介された仲介業者と契約するしか選択肢がなく、最終的には「中立」の名のもとで買い手の条件がどんどん通されてしまい、オーナーの希望とはズレた形での成約となってしまいました。
成約優先の業界構造がFAを遠ざけている
もうひとつの背景として、「とにかく件数をこなすこと」がビジネスモデルとなっているM&A仲介業界の構造があります。多くの仲介会社は「月○件の契約目標」や「早期成約によるインセンティブ制度」を導入しており、じっくり時間をかけるFA型支援は敬遠されがちです。
一方で、FAは「利益相反の排除」や「売り手の利益を最大化するための戦略設計」といった本質的な支援を行うため、時間もかかりますし、結果が出るまでのスピードも遅い傾向にあります。このように、商業主義的な風潮とFAの本質的な役割は相容れにくいのです。
まとめ
中小企業M&AにおいてFAが不足しているのは、決して偶然ではなく、報酬体系・リスク・人材リソース・市場構造といった複数の要因が重なっているためです。
そのため、「FAが見つからない=自分に価値がない」と落ち込む必要はありません。ただし、だからといって「誰でもいいから仲介に任せよう」と妥協するのではなく、契約前に業者のスタンスや実績を丁寧に見極めることが大切です。
もしFA形式での支援を希望するのであれば、案件の整理や資料整備を事前に進めておき、信頼できる専門家に相談できる準備をしておくことが、スムーズな依頼の第一歩となるでしょう。
4.FAには高度なスキルと責任が求められる
M&AにおけるFA(ファイナンシャル・アドバイザー)は、単なる仲介者ではなく、依頼者の利益を最大化するために多岐にわたる専門的な役割を担う存在です。そのため、FAには高度なスキルと強い責任意識が求められます。特に中小企業のM&Aでは、売り手が初めてM&Aに臨むケースが多いため、FAの力量が結果に直結するといっても過言ではありません。
FAが担う主要な役割
FAの業務範囲は幅広く、単なる交渉支援にとどまりません。以下のようなプロセスを全体的にカバーします。
- 初期ヒアリングと売却・買収戦略の設計
- 企業価値の算定と市場分析
- 買い手(または売り手)の選定と打診活動
- 秘密保持契約・意向表明書などの書面整備
- 条件交渉および最終契約の締結支援
- デューデリジェンス対応とスケジュール管理
これらを遂行するには、企業財務・法務・税務・ビジネス構造への深い理解と、実務に耐える交渉力が不可欠です。したがって、M&Aアドバイザーという肩書きだけではなく、その中身(スキル・経験・誠実性)こそが重要になります。
国家機関によるM&A人材への評価基準
中小企業庁が定める「中小M&Aガイドライン」でも、FA(M&Aアドバイザー)に求められる基本的な資質として、以下の項目が挙げられています。
- M&Aに関する十分な知識と実務経験
- 守秘義務および法令遵守の徹底
- 利益相反への自覚と適切な対応能力
- クライアントに対する継続的な説明責任
これらは、単なる営業力ではなく、プロフェッショナルとしての信頼性と自律性を重視したものです。中小企業M&Aであっても、FAに求められる基準は一流のコンサルタントと同様のレベルに設定されています。
実例:責任感の強いFAが成約に導いたケース
ある地方製造業(売上約4億円)のM&A案件で、売り手オーナーが依頼したFAは、案件スタート時点で「財務資料が乱雑」「主要顧客との取引契約書が未整備」といった課題を認識し、自ら経理部門や顧問税理士と連携して1ヶ月以上かけて資料を整理しました。
さらに、買い手候補との面談では、売却後の従業員処遇や設備投資方針まで丁寧にすり合わせを行い、「オーナーの意志を買い手にきちんと伝える」ことに注力しました。結果として、売却価格は当初提示額より1割上昇し、従業員の雇用も全員維持されるという理想的な成約に至りました。
このように、単に「買い手を探してきた」だけではなく、「売り手の想いを形にする」ために動いたFAの存在が、最終的な満足度を大きく左右した典型的な例です。
スキルが足りないFAが引き起こすトラブル
一方で、FAを名乗っていながら実力不足の者が関与することで、重大なトラブルが発生することもあります。以下は実際にあったケースです。
- デューデリジェンス対応で資料を準備できず、買い手が撤退
- 契約交渉で不利な条項(例:表明保証)をそのまま受け入れた
- 相手先企業の財務状況の確認を怠り、成約後に資金繰りトラブル発生
このような失敗は、FAが必要な知識や経験を持たないまま、「営業」だけで案件を取ってしまうことから生じます。特に「大手出身」や「士業の資格がある」といった肩書きに惑わされず、実務経験の中身を見ることが重要です。
FAの「責任」は法的にも問われる可能性がある
FAは助言者ではありますが、重大な判断ミスや情報管理の不備により損害が発生した場合、法的な損害賠償責任を問われる可能性もあります。過去には、FAが情報開示義務を怠ったことで、売り手から損害賠償請求を受けた民事訴訟も存在します。
また、独占禁止法や個人情報保護法、金融商品取引法などの関係法令に抵触する行為があれば、行政処分の対象にもなり得ます。つまりFAには、法律上も倫理上も重い責任が課されているということです。
まとめ
FAには、単なる「仲介役」とは異なる高いスキルと強い責任感が求められます。特に中小企業のM&Aでは、オーナー経営者の人生の節目に立ち会う以上、FAには専門性だけでなく誠実な姿勢が不可欠です。
「FAだから安心」という思い込みは危険であり、スキル不足や責任感の欠如があると、M&Aの失敗リスクは一気に高まります。FA選びの際は、肩書きや紹介実績だけでなく、実際にどのような支援ができるか、どこまで伴走する覚悟があるのかを見極めることが、何よりも大切です。
5.【実録1】スキル不足なのにFAを名乗る業者
中小企業のM&A現場では、「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」という肩書きを掲げながらも、実際には十分なスキルや経験が伴っていない業者が存在します。こうした“なんちゃってFA”に依頼してしまうと、M&Aの進行が滞ったり、想定より不利な条件での売却を強いられるなど、大きなトラブルにつながるリスクがあります。
FAは本来、企業オーナーの立場に立ってM&A全体を主導する役割を担いますが、必要な実務スキルがなければ、買い手やその顧問専門家に太刀打ちできず、最終的に依頼者が損を被ることになります。
なぜスキル不足のFAが生まれるのか
背景には、M&A業界における“肩書きの自由さ”があります。M&A業者を開業するための国家資格は存在せず、誰でも「FA」や「M&Aアドバイザー」を名乗ることが可能です。たとえば、以下のような人物でもFAを名乗れてしまいます。
- 前職が営業職で、M&Aの実務経験がゼロ
- 士業資格(税理士・行政書士など)はあるがM&A経験なし
- 知人の会社を紹介しただけで「M&Aを経験した」と語る個人
これらの人物が、FAとして高額な報酬を要求しながらも、売却戦略の設計や財務資料の整備、買い手交渉の技術などが伴っていない場合、案件が破談になる可能性が非常に高まります。
求められる基本スキルとのギャップ
中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」では、FAに求められる基本的なスキルとして以下の内容が挙げられています。
- 企業価値算定の知識(DCF法・マルチプル法など)
- 財務・税務・法務の基礎理解と顧問連携力
- 買い手候補の選定・アプローチ能力
- 秘密保持契約・意向表明書・最終契約書の構造理解
- 交渉力とM&A実務の段取り能力
しかしスキル不足のFAは、これらの知識や経験が欠如しているため、次のような問題行動を引き起こしやすくなります。
- 企業価値を独自に見積もれず、相場を答えられない
- 「契約書は買い手に任せましょう」と無責任な丸投げ
- 買い手の質問に対して曖昧な返答しかできない
- 交渉時に価格や条件の落とし所を提示できない
実例:見かけ倒しのFAに依頼したことで失敗した事業承継
ある地方の建設業を営む経営者が、親族への承継が難しく、第三者へのM&Aを決断しました。紹介されたFAは「元大手証券会社出身」と名乗っていましたが、実際のM&A実績は数件のみでした。
そのFAは、企業概要書(IM)も粗末な資料で、買い手候補に対して「ざっくりとお伝えしますね」と言いながら電話だけで概要を伝えてしまうような対応でした。また、質問事項にも即答できず、買い手の不信感を招き、3社連続で交渉が途中で破談になりました。
最終的に、オーナーは別の信頼できるFAに乗り換え、資料を一から作り直して交渉を再スタート。最終的には希望条件を満たす形で成約できましたが、時間も労力も倍以上かかり、売却時期も半年以上遅れてしまいました。
見た目や営業トークに惑わされないためのチェックポイント
スキル不足のFAを見抜くためには、初回面談の段階で次のようなチェックを行うことが効果的です。
チェック項目 | 確認すべきポイント |
---|---|
過去のM&A実績 | 案件規模・業種・件数・役割(仲介かFAか)を具体的に聞く |
契約書類の説明力 | 秘密保持契約・意向表明書の構成と役割を説明できるか |
企業価値評価の説明力 | どの手法を使って企業価値を算定するか明確に話せるか |
交渉スタンス | クライアントの希望条件をどう主張し守るか、方針があるか |
また、「仲介もできます」「FAでも仲介でもどちらでも対応できます」といった発言が出た場合は注意が必要です。どちらの立場にもなれるという表現の裏には、“どちらでもいいから手数料を取りたい”という営業姿勢が透けて見えることがあります。
まとめ
FAという肩書きだけでは、その実力を判断することはできません。中には、営業力だけで案件を受託し、肝心のM&A実務をこなせない業者も存在します。
大切なのは、肩書きや経歴だけに頼らず、具体的な過去実績やM&Aに対する理解度を自分の目で確かめることです。初回面談での質疑応答や資料の提示内容から、相手の力量を冷静に見極めることが、M&A成功の第一歩につながります。
6.【実録2】実質的に仲介の分業をしているケース
M&Aにおいて「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」と名乗りながら、実際には仲介業者と同じような動きをしているケースがあります。とくに問題となるのが、「実質的に仲介の分業」として機能しているケースです。これは表面上は売り手と買い手に別々のFAが付いているように見えて、実際には一体運営されているような構造です。
このような構造では、売り手のFAが買い手FAを“子分”のように扱い、情報や進行を一方的にコントロールします。表向きにはFA同士が個別に依頼を受けている形を取りますが、実態としては一つの仲介業者と変わらない状態で進められることがあり、売り手・買い手の双方が不利な条件を受け入れる温床となります。
仲介の分業構造とはどういうものか
以下のような図式で構造を把握するとわかりやすくなります。
立場 | 表面上の役割 | 実態 |
---|---|---|
売り手FA | 売り手の代理人 | 全体進行を支配し、買い手側もコントロール |
買い手FA | 買い手の代理人 | 売り手FAの指示に従う“子分”的存在 |
契約構造 | それぞれが独立契約 | 報酬の一部を売り手FAに還元する裏構造あり |
このように、表面上は両者にFAがついているように見えますが、実際には売り手FAが買い手FAを完全に支配しており、情報が偏ったり、買い手の意向が正しく反映されないリスクが高まります。
なぜこのような構造が発生するのか
大きな理由は、「FA形式を装いながら両手報酬を得たい」という思惑にあります。売り手FAは正式には売り手からしか報酬を得られませんが、実際には以下のような手口で買い手側からも間接的に利益を得ています。
- 子会社や知人に「買い手FA」を名乗らせる
- 買い手が契約したFAから「指導料」「紹介料」「情報提供料」として別名目で金銭を受け取る
- 最終契約締結後に手数料の一部を分配する合意が事前にある
これでは、表面上は片手契約であっても、実質的には仲介と同様に両手報酬が実現されており、売り手・買い手双方の利益相反が生じる構造になってしまいます。
実例:実質“仲介”だったFAの手口
とある売却案件で、売り手FAが「安心の完全片手FA」とうたいながら支援を開始しました。案件が進行していく中で、買い手側に突然「FAを付けてほしい」という依頼がなされ、「この人にお願いしてほしい」と特定の個人が紹介されました。
この買い手FAは、「売り手FAの推薦がなければこの案件には参加できない」と説明し、買い手企業はやむを得ず契約。その後、すべての交渉は売り手FA主導で進められ、買い手FAは単なるメッセンジャーのような役割に終始しました。
後日、売り手FAが買い手FAから“助言料”の名目で50万円を受け取っていたことが発覚。買い手は「実質的に売り手のFAとつながっていたのか」と大きく不信感を抱き、最終的には案件は破談になりました。
このような構造がもたらす問題点
このような分業型の“偽装FAスキーム”には、以下のような深刻な問題があります。
- 売り手のFAが買い手に対して不公平な交渉を仕掛ける
- 買い手が正確な情報を得られず、判断ミスをする
- 両者が自社の利益を守れない構造になり、合意の質が低下する
- 案件の成約後に「思っていた条件と違う」とトラブルになる
また、当事者の同意を得ないでこのような構造を取ることは、場合によっては契約上の信義則違反や信義誠実義務違反に問われるリスクもあります。特に商業上の重大判断に関わるM&Aにおいては、情報の非対称性が致命的な判断ミスを招きかねません。
見抜くためのチェックポイント
このような「実質仲介」の分業スキームを見抜くには、以下の点を確認しておくことが重要です。
- 買い手FAの推薦元が売り手FAでないか
- 買い手FAが「売り手FAの意向に従う」と発言していないか
- 買い手FAと売り手FAが過去に複数回同時に案件を担当していないか
- 買い手FAの実績が少なく、契約理由が曖昧でないか
- 報酬体系の透明性が確保されているか(両者間に金銭の流れがないか)
特に、売り手FAが買い手に「FAを必ずつけてください」と迫る場合は、その裏に別の目的(報酬取得)がある可能性を疑うべきです。
まとめ
売り手FAと買い手FAが独立しているように見えて、実は一体的に動いている「仲介の分業スキーム」は、表面的には問題が見えにくいため厄介です。依頼者が「FAだから安心」と信じ込んでしまうと、かえって構造上の落とし穴にはまり、利益相反や不利益な条件を受け入れさせられる結果にもなりかねません。
FAを選ぶ際は、契約形態だけでなく、関係性の透明性・交渉の独立性・報酬の流れまで細かく確認することが、自社の利益を守る第一歩となります。
7.【実録3】売り手FAを装い裏で買い手と仲介契約
本来、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)は売り手または買い手の一方と契約し、その依頼者の利益を最優先に行動する立場です。しかし実際には、売り手の味方を装いながら、裏で買い手と別の契約を結ぶという極めて悪質な事例が存在します。このような行為は、利益相反の最たるものであり、売り手にとって重大な損害をもたらす恐れがあります。
この章では、売り手FAを名乗る業者が、裏で買い手と仲介契約を締結していた実例を紹介し、その構造とリスク、そして見抜くためのポイントを解説します。
表向きはFA、実態は“両手取り”の仲介
売り手FAが本来取るべき行動は、以下のようなものです。
- 売り手の利益最大化のための助言
- 買い手候補の選定と打診
- 買い手と対峙した条件交渉
しかし悪質なFAは、売り手とはFA契約を締結して報酬を受け取りながら、買い手とも「仲介契約」あるいは「成功報酬付きの紹介契約」を裏で結び、実質的には双方から手数料を得る“両手取引”を行います。これにより、交渉の中立性が崩れ、最終的に売り手が不利益を被ることになります。
悪質な構造の流れ
段階 | 表向きの説明 | 実態 |
---|---|---|
①FA契約 | 売り手と片手FA契約を締結 | 実は買い手にも営業をかけている |
②買い手紹介 | 信頼できる買い手候補として紹介 | 裏で買い手とも契約済み |
③交渉支援 | 中立的に交渉を支援 | 買い手側に有利な調整を進める |
④報酬受領 | 売り手からのFA報酬のみと説明 | 買い手からも「仲介手数料」を受領 |
このような構造は、単なる契約違反にとどまらず、明確な利益相反であり、M&Aの健全性を損なう重大な問題です。
実例:売り手を“説得”して安売りさせたFA
ある飲食チェーン(年商2.5億円)の売却案件では、売り手が地元のM&A業者にFAとして依頼しました。業者は「売り手の利益を守る片手契約で対応します」と説明し、案件がスタートしました。
しかし、途中から買い手候補との交渉において不可解な点が続出します。
- FAが価格交渉に消極的で、買い手の主張を優先
- 売り手が希望していた従業員の雇用継続が曖昧なまま進行
- 契約条項に関して、買い手寄りの表明保証条項を押し通される
最終的に売却価格は当初想定より2割近く下がり、条件も買い手寄りのものとなりました。売り手が疑問を抱き、弁護士を通じて調査したところ、売り手FAが裏で買い手とも契約を結び、「成功報酬+情報提供料」を受領していたことが発覚。売り手は損害賠償請求を検討する事態となりました。
なぜこうした構造が見抜かれにくいのか
このような“ダブル契約”が発見されにくい理由は、次のとおりです。
- 報酬受領の契約書が非公開である
- 買い手も「仲介」とは思わず契約していることが多い
- 売り手がFAの動きを信頼してしまい、監視していない
特に、FAが「交渉のプロ」として売り手の信頼を得ている場合、その裏で買い手と接触しやすく、売り手の知らないところで金銭的な取り決めが行われることが少なくありません。
見極めるためのチェックポイント
こうした裏契約を見抜くには、以下の点を確認することが有効です。
- 「売り手FAが紹介する買い手」ばかりが候補になっていないか
- 交渉のたびに「買い手に合わせたほうがいい」と説得されないか
- 買い手側にFAがいる場合、そのFAと自分のFAが親密すぎないか
- FAが「手数料はあなたからだけです」と強調しすぎていないか
また、FA契約書に「第三者(買い手)から報酬を受け取らない」旨の条項を入れることで、万が一に備えることもできます。
まとめ
表向きは味方であるはずのFAが、実は裏で買い手とも契約し、利益相反を起こしている――これは中小企業M&Aの現場で起こりうる深刻なトラブルです。売り手としては、FAの肩書きやトークだけで信用せず、その行動の一つひとつが本当に“自分の味方”として機能しているかどうか、常に冷静に判断する姿勢が重要です。
契約形態のチェック、紹介経路の確認、そして不審点があれば弁護士や第三者機関に相談するなど、慎重な対応がM&A成功への道を切り開きます。
8.悪質FAの特徴と見分ける5つのチェックポイント
中小企業のM&Aにおいて、「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」と名乗る業者すべてが誠実で有能であるとは限りません。むしろ、表向きは専門家の顔をしながら、実際には不誠実な対応をする“悪質FA”が一定数存在します。
こうしたFAに依頼してしまうと、M&Aの進行が滞るばかりか、意図しない契約を結ばされたり、売却額が下がったりするなど、経営者にとって取り返しのつかない結果につながる可能性があります。そこで今回は、悪質FAに共通する5つの特徴と、それを見分けるための具体的なチェックポイントを紹介します。
特徴1:過去の実績を明示しない
優良なFAであれば、これまで手がけたM&A案件の内容や件数を明確に説明できます。たとえば「製造業の譲渡案件を過去5件対応し、売上規模は2〜10億円」といった具体性のある回答が返ってきます。
一方で悪質FAは、実績を聞かれても「多数経験しています」や「大手企業とも付き合いがあります」と曖昧な言い回しに終始します。これは経験の乏しさや、案件規模の小ささを隠すためです。
- 案件件数・業種・規模を明確に答えられない
- 匿名事例ばかりで、進行フェーズがわからない
- 「守秘義務で答えられない」と濫用する
特徴2:契約内容が曖昧で不透明
信頼できるFAは、契約前に支援の範囲や責任範囲、報酬体系を丁寧に説明してくれます。報酬発生のタイミング(着手・中間・成功報酬)や、解約時の取り決めも契約書に明記されています。
しかし、悪質FAは「柔軟に対応します」「詳細は後ほど詰めましょう」と曖昧にして契約を急がせる傾向にあります。契約締結後に高額な追加費用を請求されたり、途中で業務放棄されても責任を問えない事態になりかねません。
- 業務内容と成果物が契約書に記載されていない
- 「まず契約だけ」と先に締結を迫ってくる
- 報酬発生条件が抽象的または口頭説明のみ
特徴3:買い手との関係性が不透明
本来、売り手FAは売り手側の利益を守る存在であり、買い手と一定の距離を保って交渉を行う必要があります。しかし悪質FAは、裏で買い手企業とつながっており、「売り手の利益よりも成約優先」というスタンスを取ることがあります。
このようなFAは、以下のような兆候を見せます。
- 「この買い手に決めるべきだ」と強く勧めてくる
- 交渉で買い手側の意向ばかりを代弁する
- 買い手のFAが明らかにグループ企業や旧知の関係者
こうしたケースでは、表面的にFA形式を装っていても、実質的に“仲介の両手構造”が成立している可能性があります。報酬の二重取りや利益相反の温床になります。
特徴4:情報開示が遅く、報連相が曖昧
M&Aは迅速な意思決定が求められる取引ですが、悪質FAは情報共有を怠り、重要な交渉事項やスケジュール変更を事後報告することがあります。特に以下のような態度が見られる場合は注意が必要です。
- 進捗報告の頻度が極端に少ない
- 質問しても「確認します」で放置される
- デューデリジェンスの日程や内容が不明確
こうした状況では、売り手が主導権を持てず、最終契約直前で想定外の条件を飲まされるリスクが高くなります。FAの本来の役割は、依頼者が正しく判断できるよう“情報と時間”を提供することにあるはずです。
特徴5:コミュニケーションに誠実さが感じられない
最後に、悪質FAの本質的な特徴は「態度」です。誠実なFAは、売り手にとって難しい判断を迫られる場面でも、真摯に説明し、選択肢とそのリスクを提示してくれます。一方、悪質FAは以下のような特徴を持ちます。
- 都合の悪い話になると話題をそらす
- 根拠なく「絶対に売れます」「お任せください」と断言
- メールや電話での対応が一方通行(聞きっぱなし・押しつけ型)
信頼関係が構築できないFAとのM&Aは、終始ストレスが溜まり、最悪の場合にはトラブルを招いてしまいます。相性も大切な判断基準の一つです。
まとめ:5つのチェックポイント
以上を踏まえ、悪質FAを見抜くためのチェックポイントを整理すると以下のとおりです。
- 過去の実績が明確か(件数・業種・規模)
- 契約書の内容に具体性と透明性があるか
- 買い手との関係性に不自然さがないか
- 報連相が適切かつスピーディーか
- 誠実で双方向のコミュニケーションが取れているか
これらのポイントをもとに初回面談で判断することで、悪質FAに騙されるリスクを大きく減らすことができます。M&Aは一生に一度の重要な選択だからこそ、「誰に任せるか」は最も慎重に見極めるべきポイントです。
9.信頼できるM&Aアドバイザーを選ぶために
中小企業のM&Aにおいて、誰に支援を依頼するかは最も重要な判断の一つです。とくに悪質なFA(ファイナンシャル・アドバイザー)によって大切な会社や資産を損なうリスクを回避するためには、最初の「選び方」がすべてを左右すると言っても過言ではありません。
信頼できるM&Aアドバイザーを見極めるには、肩書きや大手出身という表面的な情報に惑わされず、実際の対応や実務力、倫理観を冷静に判断する必要があります。以下に、アドバイザー選びで失敗しないための具体的な視点と実例を交えて解説します。
国家機関の登録制度も参考にする
中小企業庁が運営する「M&A支援機関登録制度」では、一定の基準を満たした事業者が登録されています。たとえば、
- M&A業務経験が一定件数以上ある
- 秘密保持・利益相反防止の体制が整っている
- 適切な契約・報酬体系を用いている
などの条件を満たす必要があり、少なくとも「最低限の信頼性」は担保されていると考えられます。ただし、登録されている=安心というわけではないため、あくまで出発点として活用しましょう。
信頼できるアドバイザーに共通する5つの条件
多くの成功事例から見えてくる、信頼できるアドバイザーに共通する特徴は以下の通りです。
- 契約前に十分な説明責任を果たす
- 実務経験に基づいた戦略的アドバイスができる
- 第三者の専門家(弁護士・税理士等)と連携できる
- 常にクライアントに報告・相談しながら進める
- 契約書や報酬体系に曖昧さがない
これらの条件は、業者の規模や知名度とは関係ありません。小規模でも誠実に対応してくれるアドバイザーは数多く存在します。
実例:信頼できるアドバイザーの支援で満足成約できたケース
ある地方の製造業(年商約3億円)のオーナーが後継者不在に悩み、M&Aを決断しました。当初は大手仲介会社に相談しましたが、対応が一方的で「売れる方向に急がされている」と違和感を覚え、地元の登録FAに相談し直しました。
そのFAは、まずオーナーの希望(従業員雇用の維持、工場継続)を丁寧に聞き取り、買い手候補も理念・経営スタイルが近い企業を選定。契約書の細部に至るまで売り手側の意向が反映され、結果的に「価格以上の満足感があるM&Aだった」と高い評価を受けました。
初回面談で確認すべき質問集
面談時に次の質問を投げかけ、回答の具体性と誠実さを確認すると、業者の本質が見えてきます。
質問項目 | 確認すべき観点 |
---|---|
過去の成約実績 | 業種・規模・件数・役割(仲介かFAか) |
支援範囲とスケジュール | 業務の具体的な流れと期間見通し |
報酬体系と発生条件 | 成功報酬の算定根拠、途中解約時の対応 |
契約書の雛形確認 | 事前にドラフトを確認できるか |
第三者との連携体制 | 弁護士・税理士との連携有無や具体名 |
紹介だけでなく自ら比較・精査する姿勢が大切
「知人から紹介されたから安心」「銀行に言われたから任せた」など、紹介ルートだけで判断するのは危険です。紹介者もM&A実務の知識がない場合があり、表面的な印象で勧めていることもあります。
信頼できるアドバイザーを選ぶには、
- 最低でも2〜3社と面談して比較する
- 契約書・提案書の質を比べる
- 進め方の違いや相性を確認する
といった手間を惜しまない姿勢が何より重要です。
まとめ
M&Aの成功は、「誰と組むか」によって決まります。信頼できるアドバイザーは、価格や契約の面だけでなく、心理的・感情的にも売り手を支えてくれる存在です。
肩書きや紹介だけで選ぶのではなく、契約前のやり取りや説明内容、実績の透明性などを丁寧にチェックし、自ら納得できる相手に依頼することが、M&A成功への確実な第一歩となります。
まとめ
中小企業のM&Aにおいて、信頼できるFA(ファイナンシャル・アドバイザー)を選ぶことは、成功と失敗を分ける重要な分岐点です。悪質なFAに騙されないためには、表面的な肩書きや営業トークに惑わされず、本質的なスキルと誠実さを見極めることが欠かせません。
- FAは実力差が非常に大きい
- 片手契約でも利益相反に注意
- 見抜き方は面談時がカギ
- 実績・姿勢・透明性が重要
- 相性と信頼感も重視すべき
一生に一度の大きな決断を後悔しないために、慎重にアドバイザーを選びましょう。詳しく知りたい方は、ぜひアーク・パートナーズまでお問い合わせください。
