M&A仲介会社からのしつこい電話…なぜ?対処法と信頼できる業者の選び方を解説
「またM&A仲介会社からの電話…」「はっきり断っても何度もかかってくる…」
そんな営業電話にお困りの中小企業経営者・総務担当者の皆さまに向けて、本記事では“なぜあんなにしつこいのか”の背景から、効果的な対処法、さらには信頼できるM&Aパートナーの選び方までを丁寧に解説いたします。
■本記事を読むと得られること
- 迷惑電話の理由と背景がわかる
- しつこい営業への具体的な対処法がわかる
- 安心して任せられるM&A仲介会社の見極め方がわかる
■本記事の信頼性
筆者はM&Aアドバイザー歴10年以上、累計200件以上のM&A支援実績を有し、中小企業庁の登録M&A支援機関として、誠実・高品質なアドバイザリー支援を提供しています。
この記事を読むことで、「しつこい営業電話に悩まされる日々」から抜け出し、正しい情報と安心できる選択肢をもってM&Aに臨めるようになります。
わずか3分で読める内容ですので、ぜひ最後までお付き合いください。
1. M&A仲介会社からのしつこい営業電話…なぜこんなに多い?
1.1 なぜ電話営業が多いのか?
M&A仲介会社からの電話営業が後を絶たない背景には、案件の「発掘」が仲介業務の生命線となっているという構造的な事情があります。特に中小企業のM&A市場では、売却を検討している企業側が自ら情報を出すことが少ないため、仲介会社が積極的に売り手を探す必要があるのです。
加えて、M&Aは不動産などと異なり、明確な“売り出し物件”が市場に出回っているわけではありません。そのため、営業担当者が電話で「御社を売る気はありませんか?」と声をかけ、ニーズを掘り起こす動きが日常的に行われています。
また、売り手企業の数が限られている一方で、仲介会社の数は年々増加しています。中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」発足以降、登録機関数は1,000を超えており、業界全体で売却案件の奪い合いが起きていることも、電話営業が過熱している原因です。
1.2 上場企業のノルマとインセンティブの裏側
電話営業の過熱ぶりを語るうえで外せないのが、上場している大手M&A仲介会社の存在です。たとえば、M&Aキャピタルパートナーズ、日本M&Aセンター、ストライクなどの上場企業では、四半期ごとの業績目標の達成が株主から厳しく求められています。
そのため、現場の営業担当者には非常に高いKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)が課せられており、月間アポイント数や案件創出数などがシビアに管理されています。
さらに、下記のように「インセンティブ比率が高すぎる」報酬体系も問題視されています。
企業名 | 基本給(月) | インセンティブ | 実質年収モデル |
---|---|---|---|
大手仲介A社 | 40~60万円 | 売上の30%超(上限なし) | 平均年収3,000万円 |
大手仲介B社 | 35~50万円 | 売上の25~30% | 平均年収2,500万円 |
このように、「電話1本=将来の数百万円の成功報酬に直結する」と営業担当者は考えているため、1日に何十件も電話をかけ続けるのは当然とも言えるでしょう。成績が給与に直結する構造が、しつこい営業の根本原因となっています。
1.3 固定費型の営業体制と「電話至上主義」
多くの仲介会社が“人海戦術”に頼る固定費型モデルで営業体制を構築しています。とくに新興の仲介会社では、電話営業部門に若手社員を大量採用し、1日中アポ取りに奔走させるケースも多く見受けられます。
中には、以下のような特徴をもつ会社も存在します:
- アポ取得件数が個人の成績評価に直結
- 営業研修で「断られてからが勝負」と教えられる
- 1日100件以上の架電がノルマ
- 断られても、別担当名義で再架電を繰り返す
こうした営業スタイルは、もともと証券会社や保険会社などの金融業界で用いられてきた“電話至上主義”と類似しています。「断られるのが前提」である営業方針が徹底されているため、電話を受ける側が不快に感じてしまうのも無理はありません。
また、アポ取得後に実際のアドバイザーへ引き継ぐ分業体制も増えており、「話を聞くまでが目標」とされている営業も多いのです。このため、冷たく断っても「一言でいいので聞いてください!」という粘着的なトークが続き、しつこい印象がさらに強くなります。
さらに、コールセンターや電話代行会社に外注しているケースもあるため、担当者が次々に変わり、「話が通じない」「何度も同じ話をされる」といったストレスも発生しがちです。
このように、しつこい営業電話の裏には、M&A仲介業界の構造的な仕組みや報酬制度、営業体制の問題が複雑に絡み合っています。これらを理解しておくことで、単なる“迷惑電話”と片付けず、適切に対処するための冷静な視点を持つことができるでしょう。
2. 実録!迷惑営業電話のよくあるパターン
2.1 「御社を買いたい人がいる」は本当か?
M&A仲介会社からの電話でよく使われるフレーズに「御社を買いたい企業がいます」といった誘い文句があります。一見すると魅力的に聞こえますが、その真偽には注意が必要です。
このようなトークの多くは、実際に明確な買い手候補が存在するわけではなく、あくまでアポイント獲得のための“つかみ”に過ぎない場合があります。買い手企業が具体的に決まっていれば、通常はノンネームシート(概要資料)と秘密保持契約を経て、正式に提案されるものです。それらを省略したまま「います」と断定的に語る営業は、信ぴょう性に欠けるといえるでしょう。
実際、2024年4月に中小企業庁がM&A支援機関に送付した通達では、「売却希望の意思がないにもかかわらず、買い手がいると偽って接触する営業手法」は倫理違反に該当する可能性があるとされ、注意喚起がなされています。
下記に、よくある営業トークのパターンをまとめました。
セリフ例 | 注意ポイント |
---|---|
「御社に関心を持っている企業がいます」 | 具体的な企業名や業種、規模などを聞いても曖昧にされる場合は要注意 |
「一度だけでいいので面談させてください」 | 面談獲得が目的で、実際には買い手がいないケースがある |
「うちのクライアントが御社を指名しています」 | 真偽の検証手段がなく、虚偽でも違法性が問われづらい |
このように、営業電話の常套句には裏があることも多いため、安易に信じず冷静に情報の開示を求める姿勢が重要です。
2.2 実際にあったしつこい営業の事例
読者の中にも、「何度断ってもしつこく電話がかかってくる」「別の担当者から同じ話を繰り返される」といった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。実際、口コミサイトやSNSなどでは、仲介会社の営業手法に対する不満の声が多数投稿されています。
以下に、実際に投稿された事例の一部をご紹介します。
- 断っても1週間後に別の担当者から再度電話がかかってきた。
- 「もう2度と連絡しないでください」と伝えたのに3回目の着信があった。
- 受付担当が「担当不在」と答えると「社長はどこにいるのか?」と問い詰められた。
- 最終的には「これ以上連絡すると通報する」と伝えるまで電話が止まらなかった。
これらは一部の業者による行き過ぎた営業活動の例ですが、他業種の営業よりも粘着度が高く、対応する側に大きなストレスを与える傾向があります。とくに電話口でのやりとりは記録が残りにくいため、言った言わないの水掛け論にもなりがちです。
さらに問題なのは、こうした行為が組織ぐるみで行われているケースがある点です。営業リストに基づいて自動発信されていたり、成績の悪い社員が使い捨て同然にアポイント取得に使われているといった証言もあります。
2.3 口コミや苦情投稿が増えている背景
近年、M&A仲介会社に対する「しつこい」「信用できない」といったネガティブな口コミが急増しています。背景には、M&A支援機関制度の導入や業界の急成長により、新規参入業者が爆発的に増えたことがあります。
2021年に中小企業庁が開始した「M&A支援機関登録制度」により、全国のM&A支援機関数は急増しました。これは中小企業庁の補助金制度と連動しており、多くの業者が制度活用を目的に登録しています。
一方で、登録制度は研修受講や書類提出で形式的に通過できる仕組みであり、実質的な「倫理観」や「支援の質」が担保されているわけではありません。そのため、知識・経験の乏しい仲介業者が電話営業に頼り切り、結果として迷惑行為が横行している実態が浮かび上がってきます。
口コミサイト「みんなの評判ランキング」や「Googleレビュー」などには、以下のような声が投稿されています。
- 「しつこすぎて仕事に支障が出た」
- 「担当者が何度も変わる。信頼できない」
- 「強引な手法で怖かった」
- 「会社名を偽って別会社を名乗ってきた」
さらに、M&A仲介協会では苦情相談フォームを公開しており、一定数以上の苦情がある企業には注意喚起や除名措置が取られることもあります。このような業界全体への監視強化が進んでいることからも、苦情が無視できない水準に達していることがうかがえます。
以上のように、しつこい営業電話は個人の問題ではなく、業界構造やインセンティブ設計、規制の不十分さといった複合的な要因によって引き起こされていることがわかります。経営者や担当者の皆様は、「ただの営業」だと軽視せず、毅然とした対応と情報収集によって自社を守ることが求められます。
3. しつこいM&A営業電話への5つの対処法
3.1 冷静に聞いて、判断して断る
まず最も基本的で効果的な対応は、感情的にならずに冷静に相手の話を聞いたうえで、自分で必要性を判断し、きっぱりと断ることです。相手の言い分を完全に遮るよりも、一度耳を傾ける姿勢を見せた方が、かえって早く終わることもあります。
M&A仲介会社の多くはトークスクリプトに沿って話しており、断るタイミングを見極めながら話を進めています。相手の言葉尻をとらえたり、曖昧な反応をすると「まだ可能性がある」と判断されてしまうため、以下のような明確な断り文句を使うのが効果的です。
- 「必要があればこちらから連絡しますので、今回は結構です」
- 「M&Aは検討していません。二度と電話しないでください」
- 「担当者はM&Aの話は一切受け付けておりません」
このように自分の意志を明確に伝えることで、相手も無理に粘る理由がなくなります。感情的に怒鳴るのではなく、落ち着いたトーンで話すことが効果的です。
3.2 はっきり断る+再発防止を伝える
しつこい営業電話の多くは「断ったつもりが伝わっていなかった」ことに起因しています。そのため、一度きっぱりと断る際には「今後二度と連絡してこないでください」という意思表示を明確に伝えることが重要です。
さらに、「記録を残しています」「次回以降はしかるべき機関に相談します」といった一言を添えることで、抑止力を高めることができます。以下は、実際に効果があった断り方の例です。
- 「再度の連絡があった場合、消費生活センターに通報します」
- 「すでに断っている記録があります。これ以上は迷惑行為です」
- 「これが最後の連絡だと受け止めていいですね?」
なお、営業リストに登録された状態だと、別の担当者名義で再度連絡が来ることもあります。その場合でも、過去のやり取りを伝え、「情報を共有しておいてください」と釘を刺すのが有効です。
3.3 ユーモアや受け流しでストレス軽減
営業電話が頻繁にかかってくると、いちいち真面目に相手をするのも疲れてしまいます。そこで有効なのが、ユーモアを交えた軽い受け流し方です。相手に「これは無理だな」と思わせることで、長話を避け、自然に電話を終わらせる効果があります。
たとえば以下のような会話例があります。
- 「社長は山に芝刈りに行っています」
- 「M&Aのことはペットのインコに任せています」
- 「今、牛の踊り食い中なので折り返します」
このように冗談を交えて返すことで、相手も強く出づらくなります。ただし、不快にさせるような皮肉や揶揄は逆効果になりかねないため、あくまで和らげる目的で使うことが大切です。
3.4 苦情相談窓口の活用と注意喚起
営業電話のしつこさが改善されない場合は、外部の相談窓口を活用することも有効です。特に中小企業向けのM&Aにおいては、各種業界団体や中小企業庁などが苦情対応を行っています。
たとえば、以下のような苦情相談窓口があります。
窓口 | 相談内容 | 対応方法 |
---|---|---|
M&A仲介協会 (苦情フォーム) |
しつこい営業や虚偽説明 | 仲介会社への注意・改善指導 |
中小企業庁M&A支援機関事務局 | 登録仲介機関の不適切行為 | 警告・登録取消などの処分 |
消費生活センター(国民生活センター) | 迷惑電話・勧誘全般 | 行政指導や助言 |
特に「中小企業庁の登録M&A支援機関」は、一定のルールを守る義務があるため、ガイドライン違反があった場合は、当局が対応に乗り出すこともあります。電話の日時・内容・相手の名前をメモしておくことで、相談時の証拠として有効です。
3.5 場合によっては中小企業庁への連絡も
何度も断っているのに電話がやまない、内容が虚偽だと感じる、社名を偽るなどの悪質な事例では、中小企業庁への通報を検討することも視野に入れてください。
2024年時点で、中小企業庁は「M&A支援機関登録制度」により、仲介業者の行動に一定のガイドラインを設けており、以下のような行為は禁止とされています。
- 虚偽の情報を伝えてアポイントを取る
- 依頼者の意向に反する営業行為
- 断ったにもかかわらず繰り返す営業
複数回にわたる苦情が確認された場合、業者名を公表されたり、補助金対象から除外されるなどの厳しい処分も検討されます。公式の情報提供窓口から匿名で通報することも可能ですので、泣き寝入りする必要はありません。
以上のように、しつこいM&A仲介会社の営業電話には、段階的に対処することが重要です。まずは冷静に断り、必要に応じて相談窓口や通報制度を活用することで、無駄なストレスから自社を守ることができます。
4. M&A仲介会社の手数料体系とそのカラクリ
4.1 着手金・中間金・成功報酬の違いとは
M&A仲介会社に支払う手数料には、大きく分けて「着手金」「中間金」「成功報酬」の3種類があります。これらの名称は共通していても、金額の相場や支払いタイミング、契約解除時の返金可否などは業者によって大きく異なります。
以下の表は、各手数料の基本的な定義をまとめたものです。
手数料の種類 | 発生タイミング | 概要 | 相場(目安) |
---|---|---|---|
着手金 | 契約締結時 | 業務開始の対価として支払う固定報酬 | 50万円~300万円 |
中間金 | 基本合意締結時 | 買い手候補と基本合意書を交わした時点で発生 | 100万円~500万円程度 |
成功報酬 | 最終契約・クロージング時 | M&Aが成立した場合のみ支払う成果報酬 | レーマン方式で譲渡価格の5%前後 |
特に注意すべきは、着手金や中間金が「M&Aが不成立でも返金されないケース」が多い点です。一部の仲介会社では、成功報酬だけにして費用リスクを抑えている業者もありますが、逆に着手金+中間金だけで高額を回収する悪質なケースも存在します。
中小企業庁が2023年に発行した「中小M&Aガイドライン」によると、仲介会社には手数料体系の明示義務があります。しかし、ガイドラインは法的拘束力がないため、実際には「時価」として料金表を非公開にしている業者も少なくありません。
依頼する前には、以下のような確認を必ず行うべきです。
- 契約前にすべての手数料項目と金額が明示されているか
- 成果が出なかった場合に着手金・中間金は返金されるのか
- 中間金の発生条件(基本合意なのか最終契約なのか)
- 最低報酬や下限額の設定はあるか
手数料構成をあいまいにしたまま契約すると、後から高額請求が発生し、トラブルの原因になります。契約書や報酬表は事前にしっかりと確認し、第三者にレビューを依頼することも検討しましょう。
4.2 仲介会社が“必死”になる理由
M&A仲介会社の営業担当者が過剰な営業活動を行う背景には、インセンティブ中心の給与体系と高額報酬の構造があります。とくに上場している大手仲介会社では、年収3,000万円以上の営業マンが多数在籍しており、その多くが成功報酬に連動する出来高制です。
以下は、実際に大手M&A仲介会社が求人サイトに掲載していた給与例の抜粋です。
企業名(仮称) | 基本給 | インセンティブ | 想定年収 |
---|---|---|---|
仲介A社 | 月給40~60万円 | 売上の20~30%が歩合 | 平均3,500万円/上限なし |
仲介B社 | 年収600万円~ | 個人売上の25% | 最大年収5,000万円超 |
このように、1件でも成約できれば数百万円以上の報酬が入る構造になっており、営業担当者が“案件発掘”に必死になるのも無理はありません。とくに売却希望企業は市場に出回りにくいため、「電話営業で売り手を見つける」ことが営業目標になっています。
また、上場企業では四半期ごとの業績開示が求められるため、常に短期的な成果が求められます。売上計上のタイミングは「最終契約成立時」や「クロージング時」であることが多く、営業部隊は契約の見込みがある企業に対して執拗に連絡を重ねる傾向があります。
このような営業スタイルは、結果的に以下のようなトラブルを生み出します。
- 成約を急がせるあまり、売り手の納得感を無視する
- 高額な手数料を正確に説明せず、事後的に請求する
- クロージング後に「最低報酬」の存在を知らされる
- 中間金発生の基準が曖昧なまま進行する
さらに、企業側が「無料で相談できる」と誤解して依頼した結果、契約書の中に高額な成功報酬や中間金の支払い条項が含まれていてトラブルになる事例もあります。
したがって、仲介会社の営業スタイルを理解したうえで、手数料体系を徹底的に確認することが、自社の損失やトラブルを防ぐために不可欠です。安易に「大手だから安心」と考えるのではなく、契約内容と担当者の誠実さを自ら見極める姿勢が求められます。
5. M&A支援機関ガイドラインと「営業倫理」
5.1 中小企業庁の指針と登録制度の背景
M&A仲介業者の営業活動に一定のルールと倫理を求めるため、中小企業庁は2021年に「M&A支援機関登録制度」を創設しました。この制度は、中小企業が安心してM&Aを進められるよう、支援機関に対して一定の基準を満たすことを求める仕組みです。
登録の条件には、M&A業務の実績や人員体制、コンプライアンス意識、顧客対応の誠実さなどが含まれ、定期的な研修受講や報告義務も課されています。登録されることで、M&A補助金(事業承継・引継ぎ補助金)の申請支援が可能となるなど、企業にとっても一定のメリットがあります。
中小企業庁は同時に「中小M&Aガイドライン」も発行し、支援機関が守るべき行動指針を明示しました。以下はその一部です。
- 中小企業の意思決定を尊重し、丁寧な説明を行うこと
- 両手仲介(二重代理)においては、利益相反を十分に開示・説明すること
- 手数料体系を契約前に明確に提示し、後出しで追加請求しないこと
- 売主・買主に対し、不必要に成約を急かさないこと
- 虚偽・誤解を招く説明や強引な勧誘行為を行わないこと
このガイドラインは法的拘束力こそありませんが、補助金制度とセットになっているため、事実上の「行動規範」として業界全体に影響を与えています。
2024年4月には、登録機関向けに「迷惑営業に対する注意喚起文書」が発出され、「契約を断られた後の営業継続」「電話・メールでの繰り返し連絡」などについて改善を求める姿勢が強化されました。
中小企業側にとっては、この制度を利用することで、信頼できる業者とそうでない業者を見分けやすくなります。登録制度の有無は、ひとつの判断材料として活用すべきでしょう。
5.2 ガイドライン違反への対応と通報方法
もしも登録されたM&A支援機関がガイドラインに反する行為を行っていた場合、どのような対応がとられるのでしょうか。中小企業庁は、違反行為の情報提供を受け付ける専用の窓口を設けており、一定の件数や悪質性が認められた場合には、以下のような対応が実施されます。
- 該当機関への書面通知と改善指導
- 指導にも関わらず改善が見られない場合、登録取消の検討
- 登録取消となった場合、補助金制度の利用不可
- 重大な違反については公表の対象となる可能性も
これらの対応方針は、中小企業庁の公式ページやM&A支援機関向けの説明資料にも明記されており、すでに複数件の登録取消や警告が実例として報告されています。
通報先としては、以下のフォームを利用することができます。
- 中小企業庁「M&A支援機関登録制度」通報フォーム:
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shoukei/ma_support.html
通報の際には、以下のような情報を記録しておくとスムーズです。
- 業者名・担当者名・会社名
- 迷惑行為の内容(例:断っても電話を繰り返す、買い手がいると偽るなど)
- 発生日時・回数・対応履歴
- 録音やメールの文面など、証拠となる記録
これらの情報は、調査時の判断材料になるだけでなく、同様の被害を防ぐうえでも重要な役割を果たします。実際に通報を行った結果、仲介業者が営業手法を改めたり、担当が変更されたという声も多く報告されています。
また、M&A仲介協会(民間団体)にも苦情対応窓口があり、協会会員企業に対して改善指導や除名措置が取られることもあります。あわせて活用するとよいでしょう。
苦情先 | 対象となる機関 | 対応内容 |
---|---|---|
M&A仲介協会 苦情受付フォーム |
協会会員のM&A仲介会社 | 改善要請・業者への注意喚起・除名 |
中小企業庁 M&A支援機関制度 通報窓口 | 登録M&A支援機関 | 登録取消・警告・補助金対象外 |
ガイドライン違反への対処制度は、完全とは言えませんが、少なくとも「泣き寝入りをしないための仕組み」が整備されつつあります。中小企業側が正しい知識を持ち、適切に対応することで、業界全体の質も向上していくでしょう。
6. 信頼できるM&Aパートナーの選び方
6.1 料金の安さではなく「伴走力」が重要
M&A仲介会社を選ぶ際に、料金の安さだけで判断するのは非常に危険です。確かに手数料は気になる要素ですが、それ以上に重要なのが「伴走力」、すなわち最初から最後まで誠実に寄り添い、企業の将来を真剣に考えて動いてくれる姿勢です。
中小企業庁が2023年に改訂した「中小M&Aガイドライン」では、「安価な手数料を売りにした低品質な支援」について注意喚起がなされています。特に成功報酬のみで動く業者に多く見られるのが、以下のような問題です。
- 初期対応は丁寧でも、途中から放置気味になる
- 買い手の選定が雑で、とにかく早く成約させようとする
- 意思決定を急かし、リスク説明を省略する
一方、信頼できる仲介会社は、以下のような対応を心がけています。
- 着手前に必ずM&Aの流れやリスクを説明する
- 複数の買い手候補を提示し、選択肢を広げてくれる
- 譲渡後の従業員や顧客への影響まで考慮してくれる
- 対面・オンラインを問わず柔軟に打ち合わせ対応
料金の比較はもちろん大切ですが、「誰が、どう動いてくれるのか」「自社に合わせた対応ができるか」という視点を持つことで、より後悔のないパートナー選びが可能になります。
6.2 会社ではなく「人」を見る視点
M&A仲介サービスは“属人性”の高いビジネスです。たとえ大手の仲介会社であっても、担当者の力量や姿勢によって成否が大きく左右されることがあります。したがって、仲介会社を選ぶときは「どの会社か」よりも「誰が担当するのか」に注目することが重要です。
過去の実例として、大手仲介会社を選んだにもかかわらず、以下のようなトラブルが報告されています。
- 若手で経験が浅い担当者が付いたため、買い手との交渉力が弱かった
- 定型的な資料ばかりで、自社の強みをきちんと伝えてもらえなかった
- 途中で担当が変わり、社内事情が引き継がれていなかった
一方、個人規模でも実力のあるアドバイザーであれば、以下のようなメリットがあります。
- 代表者自らが最後まで責任を持って対応してくれる
- 小回りがきき、細かい配慮や柔軟な対応が可能
- 経営者同士の感覚で本音の相談ができる
面談や電話のやり取りを通じて、「この人なら信頼できる」と思えるかどうかを重視することが、後悔のない選択につながります。
6.3 面談時に確認すべきチェックポイント
実際に仲介会社やアドバイザーと面談をする際には、事前に以下のような質問や確認事項を用意しておくと、相手の対応力や誠実さを見極めやすくなります。
- これまでに何件くらいのM&Aを支援してきましたか?
- 今回のような業種・規模の案件に関与した経験はありますか?
- 手数料はいつ・どのタイミングで発生しますか?最低報酬はありますか?
- 基本合意後の交渉やデューデリジェンスにはどこまで関与してもらえますか?
- 途中で解約する場合の条件や違約金はどうなっていますか?
これらの質問に対して、曖昧な答えや説明を避けるような対応があれば注意が必要です。逆に、契約前から誠実に答え、丁寧にリスクを説明してくれるアドバイザーであれば、高い信頼性が期待できます。
また、初回の面談では以下のような観点でも評価してみましょう。
- 話し方に誠実さ・真剣さがあるか
- こちらの話をきちんと聞いてくれるか
- 専門用語を避け、わかりやすく説明してくれるか
- 自社の状況や悩みに共感してくれるか
M&Aは、会社の命運を託す大きな決断です。だからこそ、信頼できる“人”に任せられるかを慎重に見極め、あなたの味方になってくれるパートナーを見つけることが成功への第一歩になります。
まとめ
M&A仲介会社からのしつこい電話に悩む方は少なくありません。本記事では、なぜ営業電話が多いのか、その背景や仕組みを明らかにしたうえで、実際の対処法や信頼できる仲介会社の選び方を解説してきました。
- 電話営業には構造的な理由がある
- しつこさには冷静に対処する
- 手数料体系を事前に確認する
- 営業倫理違反は通報も可能
- 信頼できる人に任せるべき
M&Aは企業の未来を左右する大切な意思決定です。誰に任せるかで結果は大きく変わります。しつこい営業に振り回されることなく、誠実に向き合ってくれるパートナーを選びましょう。
詳しく知りたい方は、ぜひアーク・パートナーズまでお問い合わせください。
