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M&A仲介会社からのDM

「御社を買いたい会社があります」「資本提携を希望しています」――
そんな文言が記載されたM&A仲介会社からのDM(ダイレクトメール)が届いて、不安や疑問を感じたことはありませんか?
「これは本当に信頼できる話なのか?」「連絡したらどうなるのか?」「無視しても問題ないのか?」と悩む経営者の方は少なくありません。

本記事では、M&Aアドバイザー歴10年以上・200件以上の実績を持ち、中小企業庁登録M&A支援機関として活動する筆者が、こうしたDMに対する不安や疑問をわかりやすく解消していきます。

■本記事で得られる3つのこと

  1. M&A仲介DMの真偽や見抜き方がわかる
  2. DM営業の実態や仕組みが理解できる
  3. 届いたDMへの適切な対応手順がわかる

この記事を読み終えるころには、「このDMは信じていいのか?」「対応すべきか放置してよいか?」といった判断が冷静にできるようになり、信頼できる相手とだけ前向きなM&Aの検討ができる状態になっているはずです。

M&Aの第一歩を誤らないためにも、ぜひ最後までご一読ください。

1.M&A仲介会社のDMとは

近年、多くの中小企業経営者のもとに「御社を買いたい会社がいます」や「資本提携を希望しています」といった内容のダイレクトメール(DM)が届いています。これは、M&A仲介会社による営業活動の一環として行われているもので、受け取った企業側ではその真偽や意図について不安に感じることも少なくありません。ここでは、M&A仲介会社のDMがどのような目的で送られてくるのか、どんな表現に注意すべきか、そしてそれがどのような背景で発信されているのかを詳しく解説していきます。

M&A仲介会社のダイレクトメール(DM)の概要

M&A仲介会社のDMとは、企業の代表者宛てに「買い手候補が貴社に関心を持っている」といった内容で送付される営業文書です。以下のような文言が代表的です。

  • 「御社を買いたい企業があります」
  • 「資本提携を希望している投資家がいます」
  • 「事業承継のご支援をさせていただきたい」

これらは必ずしも実際の買い手企業が存在しているとは限らず、売り手側の興味を引くための「営業トーク」であることが多くあります。目的は、M&A仲介会社が面談のアポイントを獲得し、売却希望企業の案件情報を得ることです。つまり、DMはM&Aのきっかけを作るための「仕掛け型営業」と言えます。

なぜ中小企業にDMが届くのか?

中小企業にDMが届く背景には、事業承継問題の深刻化があります。2022年に中小企業庁が発表した資料によると、2025年には70歳を超える中小企業経営者のうち約127万人が後継者不在とされ、今後10年間で数十万社が廃業リスクに直面しています(出典:中小企業庁「2022年版中小企業白書」)。

こうした現状を背景に、M&A仲介会社は事業承継市場をターゲットとして積極的に営業活動を展開しています。DM送付先となる中小企業の情報は、以下のような公的・民間データベースを基に取得されていると考えられます。

  • 法人登記簿(商業登記)
  • 帝国データバンクや東京商工リサーチなどの企業情報
  • 地方自治体や商工会議所の企業名簿
  • インターネット上の公開情報(ホームページ、ニュースなど)

特に、黒字経営で後継者不在が見込まれる企業、または資産価値のある不動産や知的財産を保有している企業がターゲットにされやすい傾向があります。

DMに記載されている「御社指名」や「資本提携希望」の意味とは

DMには多くの場合、「御社指名」や「特定の企業からの買収希望」などと書かれています。しかしこの表現には注意が必要です。実際に特定の買い手企業が存在している場合もありますが、多くはそうではありません。

以下は、よく使われる文言とその実態を示した表です。

記載される表現 考えられる実態
御社を買いたい企業があります 実際の買い手が不在のことも多く、売り手企業の興味を引くための定型文
資本提携を希望しています 買い手が未確定の段階で一斉送付された「仕掛け型営業」の可能性が高い
事業内容にご関心をお持ちの企業があります 業界全体へのアプローチであり、特定性に欠ける

このような表現が使われる理由は、企業経営者の心理的な関心を引き、面談につなげやすくするためです。中小企業庁や公正取引委員会は、M&A仲介業者による誤認を招く広告表現についても注意喚起を行っており、2023年4月に発表された「中小M&Aガイドライン(第3版)」では、虚偽または誤認させる広告は禁止されています。

実際に、「御社を買いたい」という文言に反応して連絡したところ、具体的な買い手は存在せず、「もし売却をお考えであれば、買い手候補をお探しします」と言われたという声も多く見られます。これはあくまでも「きっかけ作り」であり、事前に相手を明確に特定したオファーではないケースが多いのです。

つまり、「御社指名」や「資本提携希望」といった表現がDMに記載されていても、それが必ずしも本当のオファーとは限らないということです。真に信頼できる情報かどうかを見極めるためには、発信元の仲介会社の実績や信頼性を確認することが重要です。

2.DMが届く条件と背景

会社情報はどこから取得されているのか?

M&A仲介会社が送ってくるDM(ダイレクトメール)の多くは、実際に存在する企業情報をもとにしています。そのため、「なぜ自社の情報が知られているのか」と不安になる経営者も多いのですが、情報の取得ルートはほとんどが合法的かつ公開されているものです。

具体的に仲介会社が活用している情報源としては、次のようなものが挙げられます。

  • 商業登記簿(法務局で誰でも閲覧可能)
  • 法人番号データベース(国税庁が公開)
  • 企業信用調査会社のデータ(帝国データバンク、東京商工リサーチなど)
  • 各種業界団体・商工会議所の会員名簿
  • インターネット上の企業公式サイトや求人情報

たとえば、法人番号データベースは誰でも無料でアクセスでき、企業名・所在地・設立日などの基本情報を取得できます。商業登記簿も法務局で一定の手数料を払えば誰でも閲覧可能であり、代表者名や資本金、所在地などが確認できます。

つまり、DMが届くということは、何らかの形であなたの会社が「外部から把握できる企業情報を持っている」という状態であることが多いです。特に、設立から一定年数が経過していたり、売上や利益が安定していたり、事業承継の必要性が見込まれると判断されると、仲介会社の営業対象となる確率が高くなります。

M&A業者がDMを送る基準とは?

M&A仲介会社がどの企業にDMを送るかを決める際には、いくつかの共通した基準や傾向があります。それらは営業効率や成約可能性を高めるために設けられているもので、以下のような企業が優先されやすいです。

送付先として選ばれやすい企業の特徴 理由
代表者が60歳以上 事業承継ニーズが高まっていると想定される
黒字経営が継続している 買い手からのニーズが高く、成約の可能性が高い
特定業界(建設・製造・医療・ITなど) M&A市場で買い手の関心が強い分野
資産(不動産・特許)を保有 譲渡後の再活用や事業展開にメリットがある
過去に補助金等を受けている 財務体質や経営体制が整っていると判断されやすい

このように、DMは無作為に送られているのではなく、「売却できそうな企業」「買い手が興味を持ちやすい企業」を営業対象として選定した上で、戦略的に送られているものです。また、地域や業種によってはターゲットを絞り、エリアマーケティングの一環として送付されるケースもあります。

さらに、近年ではAIやマーケティングオートメーションの導入が進み、企業の財務情報やWEB上の行動履歴などからスコアリング(点数化)を行い、DMの送付対象をより精密に絞り込む動きも見られます。

中小M&Aガイドラインにおける広告・営業規律とは

中小企業庁が策定した「中小M&Aガイドライン(第3版/2023年4月改訂)」では、仲介会社やFA(ファイナンシャルアドバイザー)が遵守すべき広告・営業活動のルールが定められています。これは、悪質な営業や誤解を与える表現によるトラブルの防止を目的としたものです。

特にDMなどを通じた営業については、次のような点がガイドラインで明記されています。

  • 虚偽や誇大表現は禁止
  • 「御社を買いたい企業がいます」などの表現は、実在する買い手がいる場合に限定
  • 情報取得元や意図を明確に記載する
  • 押し売り・しつこい追客の禁止
  • 利益相反がある場合は事前に明示する

つまり、仲介会社が「御社を買いたい」といった内容のDMを送ってきた場合、その文言が本当にガイドラインに沿ったものかどうかを慎重に見極めることが重要です。DMの中に「実在する買い手の名称や条件が記されていない」「過度に売却を煽る内容がある」といった場合は、ガイドライン違反の可能性もあります。

また、ガイドライン違反が明らかになった場合でも、現時点では直接的な罰則があるわけではありません。しかし、登録M&A支援機関として中小企業庁に届出をしている仲介会社であれば、違反の報告があった場合、今後の登録継続に影響する可能性があります。

このように、DMが届く背景には、仲介会社の戦略的営業活動と、法令や業界ガイドラインによる一定の制限が存在しています。受け取った側としては、内容の正確性を冷静に読み解き、必要に応じて専門家に相談する姿勢が大切です。

3.M&A仲介DMのメリットとデメリット

“御社指名”のメリットとその真偽

M&A仲介会社から届くDMの中には、「御社を指名しています」「特定の買い手からのオファーです」といった文言が記載されていることがあります。こうした表現は、一見すると信憑性が高く、実際に買い手企業が存在しているように感じるかもしれません。

確かに、場合によっては特定の買い手企業が存在し、事前に業種や地域などを指定したうえで、仲介会社がリストアップした売り手候補企業に対してDMを送っていることもあります。このようなケースでは、DMを受け取った側が買い手ニーズに一致している可能性があり、話を進める価値があるといえます。

しかし実際には、「御社指名」という表現が営業トークとして使われることが多く、買い手企業が具体的に存在しないケースも少なくありません。中小企業庁が定める「中小M&Aガイドライン(第3版)」では、虚偽または誤認を招く表現を用いた営業活動を禁止しており、こうした誤解を生む文言には注意が必要です。

DMをきっかけに事業承継を考えるメリット

とはいえ、DMをきっかけに事業承継や会社売却について初めて考える経営者も多く、必ずしもすべてが悪いものというわけではありません。特に以下のような状況にある企業にとって、DMは気づきのきっかけとなる可能性があります。

  • 60代以上の経営者で、後継者が不在
  • 業績が安定しているが将来が不安
  • 自社の強みを他社に引き継ぎたいと考えている

中小企業庁の2022年の発表によると、2025年までに70歳を超える中小企業経営者のうち、約127万人が後継者未定であり、このままでは年間約6万社が黒字廃業に追い込まれる可能性があると指摘されています。

このような社会的背景もあり、M&Aは事業承継の有力な選択肢として注目されています。たとえDMが営業の一環であったとしても、自社の今後を考える契機として前向きにとらえることもできるでしょう。

指名オファーのデメリットやリスク

一方で、指名オファーを名乗るDMにはリスクも存在します。最も大きな問題は、「買い手が実在しない」もしくは「最初から売却ありきで話を進められる」ことで、冷静な判断ができなくなる恐れがある点です。

以下のようなケースには特に注意が必要です。

  • 買い手の社名や業種が一切明かされていない
  • 売却意向の確認をする前に契約書への署名を促される
  • 「急がないと他の企業に回ります」といった煽り文句がある
  • 手数料や中間コストが不透明

また、売却後に「こんなはずじゃなかった」と後悔する経営者もいます。従業員の雇用が守られなかったり、企業文化が崩壊したりといったトラブルも報告されています。M&Aは単なる経済取引ではなく、企業の未来と関係者の人生を左右する重要な判断です。

連絡先に対応した場合どうなる?

DMに記載されている連絡先に電話やメールで対応すると、仲介会社の担当者からアポイント調整の連絡が入ることが一般的です。その場では丁寧な対応がなされ、「まずは情報交換から」という形で面談に誘導されるケースが多いです。

その後、面談の中で自社の業績や希望条件についてヒアリングが行われ、必要に応じて簡易的な企業概要書(ノンネームシート)や売却想定価格の説明がなされます。ここまでの流れは、必ずしも強引ではなく丁寧に進められることもあります。

ただし、途中から担当者の対応が急変し、「すぐに動かないと買い手が逃げる」「今が最後のチャンスです」といったプレッシャーをかけられることもあるため、注意が必要です。特に、相手の意図を明確にせず、「買い手は後で探します」という場合には慎重に判断しましょう。

しつこいDM・電話営業を止めたいときの対処法

一度連絡をとったことで、以降何度もDMや電話が来るようになったという相談も少なくありません。そのような場合には、以下のような対応をとることで、過度な営業を止めることができます。

  1. 営業電話の場合:「以後の連絡はご遠慮ください」と明確に断る
  2. DMの場合:郵便物の受取拒否を郵便局で手続きする
  3. それでも改善しない場合:中小企業庁や公的機関に通報

また、M&A支援機関の登録制度を活用することで、一定の倫理基準を持った仲介会社を選別しやすくなります。2021年より中小企業庁による登録制度がスタートしており、登録機関であれば、一定水準の知識・経験・倫理観が求められます。

このような制度や手段を知っておくことで、不安を感じた場合にも冷静かつ適切に対処することができます。

4.DM営業に関する実例・評判

DM営業の実態:件数の多さと営業戦略

M&A仲介会社から送られてくるDM(ダイレクトメール)は、想像以上に多くの企業に届いています。特に事業承継期を迎える中小企業を中心に、月に複数件届くという声も少なくありません。

この大量送付の背景には、M&A仲介会社の営業戦略があります。DMは「仕掛け型M&A」と呼ばれる営業手法のひとつで、売り手企業側からの反応を引き出すことを目的としています。以下のような構造になっています。

  • 仲介会社が特定の業種・地域・規模の企業リストを収集
  • 「買い手候補がいます」といった文言でDMを一斉送信
  • 興味を持った企業から問い合わせが来れば初回面談を設定
  • その後、売却意向の有無にかかわらずM&A支援契約を勧誘

このように、DMの目的は「売却意欲のある企業を掘り起こす」ことであり、必ずしも本当に買い手が存在するとは限りません。営業の起点であることを理解する必要があります。

売り手が飛びつきたくなるDMの危険性とは

DMの中には、「御社を買いたい企業がいます」「資本提携を希望しています」など、経営者が思わず反応してしまいそうな言葉が並んでいます。こうした表現は、特に初めてM&Aを検討する経営者にとって非常に魅力的に映るものです。

しかし、その裏側には営業トークとしての仕掛けがあることも忘れてはいけません。買い手が本当に存在しているのか、どのような条件を提示しているのかが不明瞭なまま話が進み、最終的には「買い手はこれから探します」という展開になるケースが多いのが実情です。

その結果、以下のような問題が発生することがあります。

  • 相場を無視した低い価格での売却提示
  • 売却後の従業員処遇や拠点整理に関するトラブル
  • 契約締結後のキャンセルによる違約金発生

このようなリスクを回避するには、相手の実態や契約条件を冷静に確認し、第三者的な視点から助言を得ることが重要です。

「嘘のDMやめて」など、経営者による口コミ・調査結果

DMに対する不満やトラブルの声は、全国の中小企業経営者からも数多く寄せられています。ある調査では、「DMに記載されていた内容が事実と異なった」「買い手がいないにもかかわらず『買収希望がある』と誤認させられた」などの苦情が報告されています。

実際の口コミには、以下のようなものがあります。

  • 「御社に興味を持っている企業がある」という手紙が届いたが、問い合わせると「まだ決まっていない」と言われた。
  • DMを受け取って連絡したら、いきなり顧問契約の話になり、売却の話はなかった。
  • 何社もの仲介会社から毎月DMが届き、しつこく電話もかかってくる。

こうした声を受けて、中小企業庁も2023年改訂の「中小M&Aガイドライン」において、DMや広告における誤解を招く表現の使用を明確に制限しています。ガイドラインでは、虚偽・誇大な表現を用いた営業は禁止されており、実在しない買い手企業の存在を匂わせるような文言も問題視されています。

「某大手を辞めた人」が増やすM&A業者の営業体制

近年、M&A業界では、大手仲介会社を退職した個人や小規模事業者が独立して新たな仲介会社を立ち上げる事例が急増しています。こうした背景には、M&A市場の拡大と、それに伴うプレイヤーの増加があります。

これにより、以下のような問題点が顕在化しています。

問題点 背景・理由
営業スキル優先で倫理観が不十分 個人営業主体でチェック体制が機能しにくい
ガイドライン非準拠の広告が増加 実務経験が浅く、最新の規律を知らないケースが多い
報酬体系の不透明さ 事前説明が不十分なまま契約締結を迫る例がある

こうした営業体制の変化により、DMを受け取った企業は仲介会社の「背景」や「運営実態」にまで注意を払う必要があります。規模や社歴ではなく、契約前に信頼性や説明責任がしっかり果たされているかを確認することが、トラブル回避の第一歩となります。

5.信頼できるM&A仲介会社の見極め方

実績や評判を確認する

信頼できるM&A仲介会社かどうかを判断するために、まず確認すべきなのはその会社の「実績」と「評判」です。過去にどれだけの件数を手がけたか、どのような業界に強みを持っているか、そして顧客からどのような評価を受けているかを調べることは非常に重要です。

例えば、中小企業庁が公表している「M&A支援機関登録制度」では、一定の実績や専門性を有した仲介会社のみが登録されています。2023年時点で約2,500以上の支援機関が登録されており、ホームページで検索可能です。登録機関であれば信頼性が担保されやすく、DMを送ってきた会社が登録されているか確認するのも一つの判断材料になります。

  • 中小企業庁の「M&A支援機関検索サイト」で会社名を検索
  • 会社の公式サイトで過去実績を確認
  • Google口コミやM&Aプラットフォームでのレビューをチェック

強引な営業をしないか

強引な営業をする仲介会社は信頼性に欠ける可能性があります。特に、初回面談の段階で即契約を迫ったり、売却を前提にした話しか持ちかけてこない業者には注意が必要です。

中小企業庁の中小M&Aガイドラインでは、「一方的・強引な営業は避け、相手の意思決定を尊重する姿勢が求められる」と記されています。誠実な仲介会社は、売り手側の意向を丁寧に確認し、慎重に進める姿勢を見せるものです。

  • 「今すぐ契約しないとチャンスを逃す」といった煽り文句を使わない
  • 相談者の意思を尊重し、売却以外の選択肢も提案してくれる
  • 複数回の面談や説明を経て慎重に進めるスタンスである

メリット・デメリットを両方説明するか

信頼できるM&A仲介会社は、メリットだけでなく、デメリットもきちんと説明してくれます。M&Aには当然リスクも伴うため、良い点ばかりを強調する業者には注意が必要です。

たとえば、以下のような説明があるかどうかをチェックしましょう。

  • 買い手の財務状況や交渉スタンスの透明性
  • 従業員の雇用や事業体制への影響
  • 契約解除や条件変更の可能性

特に売却後の生活や、地元との関係性がどう変化するかなど、中小企業特有の事情にも触れた説明があると信頼性は高いといえます。

アドバイザーの知識や経験は十分か

M&Aは非常に専門性の高い分野です。したがって、担当アドバイザーがどれだけ経験を積んでいるか、どのような案件を手がけてきたかは重要なポイントです。

特に中小企業の場合、一般的なM&Aスキームだけでなく、オーナー家の相続や株主構成、取引先との関係など、複雑な事情が絡むことが多いため、知識の幅と深さが求められます。

確認ポイント 具体的な内容
保有資格 中小企業診断士、税理士、宅建士、M&Aシニアエキスパートなど
業界経験 製造、建設、医療、ITなど業種に精通しているか
過去の成約数 10件以上のM&A実績があると安心材料になる

法務・税務・会計の専門家が関与しているか

M&Aでは、契約書作成やデューデリジェンス、税務戦略など多くの分野の専門知識が求められます。信頼できる仲介会社は、社内もしくは外部連携により、これらの分野の専門家とチームを組んで対応しています。

売却後の税金処理や、取引スキームの設計次第では、最終的に手取り額が大きく変わることもあります。法的トラブルの予防にもなるため、必ずチェックしましょう。

  • 税理士や弁護士と連携していることを明示しているか
  • 契約書を自社内で作らず、専門家がチェックしているか
  • クロージング時まで専門家が伴走する体制があるか

料金体系が明確か

最後に、料金体系が明確かどうかも非常に重要な見極めポイントです。M&A仲介では「着手金」「中間報酬」「成功報酬」など複数の料金が発生することが一般的で、報酬割合や発生タイミングの説明がないまま契約させられる事例も報告されています。

信頼できる仲介会社は、必ず契約前に見積書や報酬規定を提示し、費用について丁寧に説明を行います。以下のようなチェックポイントを確認しましょう。

  • 成功報酬の料率と算定方法が明記されている
  • 成功報酬の「最低金額」があるかどうか
  • 売却が不成立の場合のコスト負担があるか

報酬体系が曖昧な仲介会社ほど、成約を急がせたり、高額な手数料を請求してくるリスクがあるため、十分に注意しましょう。

6.DMに関する注意点とリスク

「御社指名」は本当か?見抜くポイント

M&A仲介会社からのDMに「御社を指名している買い手がいます」と記載されていたとしても、それが本当に事実であるとは限りません。こうした表現は売り手の興味を引く営業トークである場合が多く、実在の買い手が確定していないケースもあります。

中小企業庁が公表している「中小M&Aガイドライン(第3版)」でも、実在しない買い手を想起させるような表現は不適切とされています。したがって、以下のような点に注意しながら文面を確認することで、真偽をある程度見抜くことが可能です。

  • 買い手の社名や業種が具体的に記載されているか
  • 買い手の希望条件や地域が自社と明確に合っているか
  • 買い手と売り手をつなぐ背景の合理性が説明されているか

逆に、「全国で広く企業を探しています」「業種問わず検討中」といった表現は、特定の買い手が存在しないことを示唆していると考えた方がよいでしょう。

仕掛け型M&Aのカラクリと留意点

多くのDMは「仕掛け型M&A」と呼ばれる営業戦略の一環として送られています。これは、仲介会社が先に売り手を集め、あとから買い手を探す方式であり、必ずしも買い手ニーズに基づいていないという特徴があります。

仕掛け型M&Aには以下のような構造があります。

  1. 仲介会社が対象企業のリストを作成
  2. 「御社を買いたい企業があります」とDM送付
  3. 売却意欲がありそうな企業を集める
  4. そこから改めて買い手候補を探し始める

この流れの中で、売り手は「すでに買い手がいる」と誤認し、意思決定を急ぎがちになります。しかし、実際には買い手が決まっておらず、成約するかどうかも不明確なため、冷静な判断が求められます。

買い手が自ら接触する背景と戦略

M&Aの世界では、本来買い手の方から売り手企業へアプローチをかけるのは珍しいことです。なぜなら、優良な案件には複数の買い手が競合することが多く、買い手側は基本的に「選ばれる立場」であるからです。

そのため、買い手があえて指名する場合には、以下のような戦略的な意図がある可能性があります。

  • 買い手が競争を避け、安く買収したい
  • 買い手が不利な条件であっても相手を急がせて成約に持ち込みたい
  • 過去に交渉が不調に終わった企業への再アプローチ

つまり、「買い手からの特別なオファー」という表現は、売り手にとってのメリットだけでなく、買い手の都合も多分に含まれていると考えるべきです。

買い手主導の交渉が不利になりやすい理由

DMで「買い手が御社を指名しています」と始まる交渉では、売り手側が受け身になりやすく、結果的に不利な条件での譲渡につながるケースもあります。特に交渉初期から買い手側の提示条件を前提に話が進むと、価格や雇用維持、契約内容において譲歩を強いられることが多くなります。

中小企業においては、以下のようなリスクが顕在化しやすいです。

  • 価格交渉の余地がなく、相場より低い額で合意
  • 従業員や取引先への配慮がされないスキーム
  • 事後に契約条件の見直しを求められる

交渉は本来、対等な立場で行われるべきものです。買い手主導で進むM&Aにおいては、必ず第三者の専門家を介在させることが、自社を守るうえで重要な手段となります。

仲介会社はリピーターに甘くなる傾向

M&A仲介会社にとって、買い手企業は「複数回利用してくれる可能性のあるお客様(リピーター)」であることが多いため、売り手企業よりも優遇される傾向があります。とくに仲介方式(両手取引)の場合は、仲介会社が売り手・買い手の両方から報酬を得る構造になっているため、売り手の利益と相反する場面が生じやすくなります。

このような構造上の問題は、以下のような対応を引き起こす恐れがあります。

仲介会社の対応 売り手にとってのリスク
買い手の希望を優先して交渉を設計 売却価格や条件が不利になる
売り手に対してスピード成約を促す 慎重な判断ができず、後悔が残る
買い手の審査を甘くし、リスク説明を省略 売却後にトラブルが発生する

このような構造的なバイアスを防ぐには、売り手専属のFA(ファイナンシャル・アドバイザー)を起用する、あるいは仲介会社の選定時に「利益相反を防ぐ仕組み」があるかを確認することが重要です。

7.DMが届いたときの対応手順

DM受領後に取るべき具体的なアクション

M&A仲介会社から届くDMに対して、反応すべきかどうか迷う方は多いかもしれません。DMを受け取った時点で即断即決せず、まずは冷静に内容を確認することが重要です。送付元の信頼性やDMに記載された文言の真偽を見極めることが、不要なトラブルを避ける第一歩となります。

対応手順としては、以下のような流れが推奨されます。

  1. 差出人の会社名と担当者の氏名をチェック
  2. 中小企業庁の「M&A支援機関登録リスト」に登録されているか確認
  3. 「御社指名」などの表現の根拠が具体的に記載されているか確認
  4. その時点で興味があれば、まずはメールや電話で問い合わせて詳細を聞く
  5. 面談や契約前に、第三者専門家(税理士・弁護士等)に相談

特に「今すぐ会いませんか」「早く返事をください」といった急かす文言がある場合は注意が必要です。焦って返答してしまうと、強引な営業や望まない契約につながる恐れがあります。

迷惑と感じたときの対処法(例:郵便物の受取拒否)

M&A仲介会社から何度もDMが届いたり、営業電話がしつこかったりすると、不快に感じることもあるでしょう。そのような場合は、以下のような方法で適切に対処することが可能です。

  • 郵便物の受取拒否:郵便局で「受取拒否」の手続きができます。DMの封筒に「受取拒否」と赤字で記載し、押印したうえでポストに投函すれば再送防止に役立ちます。
  • 電話営業の拒否:「今後のご連絡はご遠慮ください」と明確に意思表示を行うことが大切です。録音して証拠を残しておくと安心です。
  • メールやFAXの停止要請:一度でも返信した場合、以後の勧誘を断る旨を文書で明示すると法的にも有効性が高くなります。

このような対応をとることで、精神的な負担を軽減すると同時に、不必要な営業活動を防ぐことができます。

中小企業庁や関係機関への通報方法

M&A仲介会社の営業活動があまりにもしつこい、あるいは誤解を与えるような表現を使っている場合は、行政機関への相談や通報も選択肢の一つです。

中小企業庁は「中小M&Aガイドライン」に違反している疑いのある業者に関して、以下のような情報を受け付けています。

  • 仲介会社の社名・担当者名
  • DMに記載されていた内容(特に虚偽・誇大な表現)
  • 営業の手口やしつこさ、嫌がらせの有無
  • やり取りの記録(メール、録音など)

中小企業庁の公式ホームページでは「M&A支援機関登録制度に関する相談窓口」が設置されており、Webフォームや電話で通報が可能です。また、悪質な勧誘については、消費生活センターや国民生活センターなどへの相談も有効です。

相談先 対応内容
中小企業庁(M&A支援機関制度窓口) 登録機関のガイドライン違反に関する通報
消費生活センター しつこい営業、契約トラブルの相談
弁護士・司法書士 文書作成、契約前後の対応、損害賠償請求など

これらの手段を通じて、健全なM&A市場の形成にも貢献することができます。もしDMの内容に不安や疑問を感じた場合は、一人で悩まず、信頼できる相談先に助言を求めるようにしましょう。

8.信頼できる相談先・サービス紹介

第三者視点をもつFA(ファイナンシャル・アドバイザー)を検討する

M&Aにおいて、DMを送ってきた仲介会社が本当に信頼できるかどうか判断に迷う場合は、第三者の立場でアドバイスをくれる「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」の活用が有効です。FAは売り手専属で利益を守る立場として交渉や戦略の支援を行う専門家であり、中立性を欠きやすい仲介方式とは異なる安心感があります。

特に中小企業のM&Aでは、価格だけでなく、従業員や地域との関係性、経営者の想いといった非財務的な要素も重要です。FAはこうした点を加味しながら、経営者が納得のいくM&Aを実現できるようサポートしてくれます。

  • 利益相反のない「売り手専属」の立場で支援
  • 契約条件の妥当性やリスクの事前チェックが可能
  • 複数の買い手候補との比較検討をサポート

近年では、M&A支援に特化したFA事務所や士業との連携体制が整ったプロフェッショナルも増えており、初回相談無料のところもあります。DMをきっかけにM&Aを考えるのであれば、まずは信頼できるFAにセカンドオピニオンを求めることをおすすめします。

M&A支援機関の登録制度を活用する

中小企業庁では、2021年から「M&A支援機関登録制度」を運用しており、一定の経験・知識・倫理水準を満たした仲介会社やFAのみが登録されています。この制度を活用することで、一定レベル以上のM&A専門家に相談することが可能です。

制度に登録された支援機関には以下のような特徴があります。

  • 中小企業庁が定めるガイドラインへの準拠義務がある
  • ガイドライン違反時の通報・相談窓口がある
  • 補助金制度(M&A支援補助金)の活用対象になる

登録機関の検索は、中小企業庁の「M&A支援機関ポータルサイト」で都道府県や業種などから簡単に調べることができます。DMで興味を持った仲介会社が登録済みかどうかを確認することも、信頼性を見極めるうえで有効です。

M&A支援機関ポータルの活用方法

  1. 中小企業庁のWebサイトにアクセス
  2. 「M&A支援機関登録リスト」または検索機能を利用
  3. 所在地・企業名・登録番号などで検索
  4. 登録の有無・代表者名・対象業種などを確認

制度によって質の担保がされた専門家にアクセスできる環境が整いつつあるため、不安や迷いがある場合は登録機関を優先的に検討すると安心です。

地元密着型の専門家に相談してみる

全国対応の大手M&A仲介会社が送ってくるDMとは別に、地域に根差した専門家と連携することで、より実情に即した支援が受けられる場合もあります。特に、商工会議所や地方銀行、地域金融機関、地元の士業(税理士・司法書士・中小企業診断士など)は、地域企業の実態や風土に詳しく、柔軟で丁寧な支援を行ってくれることが多いです。

こうした地元専門家の強みは以下の通りです。

  • 経営者との信頼関係を重視した伴走支援
  • 地域経済や地場企業の情報に基づいたマッチング
  • 補助金や税制優遇制度への対応経験が豊富

また、地域での信頼を失うと業務継続が難しくなるため、法令遵守や説明責任に対する意識が高いのも特徴です。もし「遠方の仲介会社より、近くの信頼できる人に相談したい」と考えるなら、以下のような場所に相談窓口があります。

相談先 対応内容
商工会・商工会議所 M&Aを含む事業承継支援や相談窓口の紹介
地元金融機関(信用金庫など) 地域の買い手候補とのマッチングや相談対応
地域士業(税理士・中小企業診断士) M&Aスキームや契約内容のチェック、評価

M&Aは人生における重要な意思決定です。DMが届いたことをきっかけに、信頼できるパートナーとじっくり話し合うことが、後悔しない選択につながります。

まとめ

M&A仲介会社から届くDMは、必ずしも悪質とは限りませんが、その真偽や意図を正しく見極めることが重要です。営業手法や業者ごとの姿勢に差があるため、安易に判断せず、信頼できる専門家のサポートを得ることで、後悔のない意思決定が可能になります。

  1. DM内容は慎重に確認する
  2. 実績や登録状況を調べる
  3. 強引な勧誘には応じない
  4. 第三者の専門家に相談する
  5. 信頼できる支援先を活用する

M&Aを前向きに進めるためにも、まずは信頼できるパートナー選びから始めましょう。
詳しく知りたい方は、ぜひアーク・パートナーズまでお問い合わせください。

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